hujiru12’s blog

観劇感想ブログです。

ナゴヤ座はえぇで……という語り。

名古屋駅からも名古屋城からも、脂肪が燃焼し始めるぐらいのウォーキングで行けちゃう円頓寺商店街にある芝居小屋。

それが、ナゴヤ座です。

毎週金土日、2公演ずつ公演しています。

カブキカフェとかいう冠被ってるんで、隈取した店員さんが見得切りながら、コーヒー運んでくれたり……みたいなイメージありますが、カフェ要素は、チケット代3500円にワンドリンク代が含まれることぐらいです。

どっちかと言うと、ライブハウスのシステムに近い気がします。

あと、ワンドリンクのラインナップにあるコーヒーは、豆にもこだわりがあって美味しい。

らしいです。コーヒーはコーヒーの味しかしない私の舌では判別できません。確かに、飲みやすい、かも?

ただし、ホットのみです。夏でも、ホットオンリーです。

他には、ハイネケンとかカロリ(缶チューハイ)とかコーラやオレンジジュースなんかも選べます。あと、なぜか、コンポタ。ウーロン茶は、アイスもホットもあるよ。

 

前置きはこれぐらいにしてですね……

このナゴヤ座、舞台オタクの魂に、滅茶苦茶刺さるんです!

 

まず、凄い役者さん達が揃っている。

ゴヤ座出演の役者さん達は、名古屋山三郎一座を名乗っておられます。

ちなみに、名古屋山三郎というのが、座長のお名前なんですが、他の座員さん達も、皆、名古屋なんちゃらです。

2019年5月現在の座員の人数が、11人(研修生1人含む)なので、11人の名古屋さんがいるわけです。最初は、名前を覚えるに、かなり苦戦すると思います。

だけど、一度舞台を観れば、自分の好みにハマる役者が、絶対に見つかる。それぐらい、各役者の個性が立ちまくっているんです。

妖怪クラスの身体能力を持つ自他共に認める美形とか、可愛い笑顔にクレバーな頭脳を隠した関西弁男子とか、どっしりした正統派な芝居を見せる変人とか、おもてなし精神溢れた安定の笑いをくれる三枚目とか、MC能力と企画力光りまくりの脚長イケメンとか、アクションと肉体美ヤバ過ぎな天才殺陣師とか、立ち回りの美しさとスベるという概念自体を知らないハートの強さのギャップがヤバい細身男子とか、二十代後半という年齢ならではのギラつきを迫力に変える演技力を持つ細身男子とか、15歳とは思えない肝の座った芝居をする若者とか、良い意味でバカという言葉を具現化したような全力系男子とか、これから先輩方に揉まれてどんな味が出るのか楽しみな現代の若者感溢れる研修生とか…………ほら、もう見たくなりませんか?

個々の役者さんについての語りは、また別の機会にすることにして、よくぞ、こんなに凄い役者を一つの箱に集めたな!? と、ちょっと動揺するぐらい実力のある役者ばかりが出ているんです。お芝居も、アクションも、凄過ぎて、鳥肌が立ちます。

そして、皆、顔が良い! 系統の違うイケメンが、揃い踏みしております。30代の脂の乗った年頃の役者が多いというのも、堪らないです。

 

更に、箱自体も、とても良い。

元々、料亭として使われていた建物を、初期メンバーの役者自らの手でリノベーションした……って、もうそれだけで、滅茶苦茶滾るんですが、そこから、どんどん進化して行って、この5月には、な、なんと……舞台の背面サイズの巨大なLEDパネルが設置されましてですね……いや、こんな設備を持った小劇場、他に見たことないぞって震えました。

と、いきなり、一番の売りを話してしまったんですが、もう少しどんな小屋なのか、という説明をしますね。

小屋の規模は、定員40人強ぐらい。

客席は座布団席4列と最後尾のベンチ席1列。座布団席は、後ろ2列は足のある座椅子になっています。

舞台は、座員全員が一度に上がると一列に並ぶのがちょいキツいぐらいの大きさですが、カブキカフェなだけあって、ちゃんと花道もあります。

花道を役者が駆け抜けて行ったり、そこで立ち回りをしたり、芝居をしたりもしてくれるので、あまりの近さに、ひぇ……って動揺します。心臓が口から出そう。

今上演している白浪五人男を題材にしたBENTEN the KIDという演目では、八百屋舞台が使われています。その上で見得を切ったり、とんぼ返りしたりすると、振動までビリビリ伝わって来そうな迫力がヤバいです。めっちゃ興奮する!

更に、客席後方から役者が滑車に乗って舞台上に登場するなんてギミックもあってですね、演目中に、カッコ良さで息の根を止められる……っと、天のお迎えを感じる瞬間が数えきれないぐらいあります。でも、最後まで観たいから、頑張って生きます。

客席と舞台との距離が、嘘でしょ!? ってぐらい近いので、最前列で観ると、刀が間近を通って行く迫力に、呼吸の仕方を忘れます。3列目以降の席だと、舞台全体を観ることができます。座椅子やベンチ席なので足が痛くならずにゆったり観れるので、そういう意味でもオススメです。前の方の席の迫力と、後方の席での舞台全体の画と、見比べてみると、新しい発見があったりして、面白いです。

照明や音響も、うーん、こういう効果を効かせるんだ、と唸ってしまうカッコ良さです。しかも、スタッフさんのアドリブが神がかっている! 最近導入されたLEDパネルも、どんどん活用の幅が広がりそうなので、これからの箱の進化も楽しみです。

 

そして、声を大にして言いたいんですが、脚本が、素晴らしい!!!

今上演されているBENTEN the KIDは、白浪五人男という歌舞伎の伝統的な演目を題材とした舞台ですが、古典のストーリーとネタを盛り込みつつ、気軽にふらりと観に来ても楽しめるエンターテイメントとしての分かりやすさを成立させているんです。

それでいて、繰り返し観るうちに、「あっ、この台詞は、後のこのシーンの伏線だったんだ」とか、「何気なく入れられているこの台詞が、この作品の核を表していたりするのかな?」みたいな、深読みしようと思えば、ぐんぐん掘り下げて行ける想像の余地もあって、行間の取り方が神がかっている……と感動します。

歌舞伎の予備知識が無くても、小学生の子どもからお年寄りまで楽しめて、だけど、原典に興味を持って学んでみると、登場人物同士の関係とか、また違った見方ができる。お芝居を観るのは初めての客層も、ディープな観劇ファンも、「面白い!」と思える舞台って、滅茶苦茶すごいんじゃないかと思います。

計算を計算に見せない緻密さで張り巡らせた脚本でありながら、役者のアドリブに任せた部分もあって、それが、ナマモノである舞台の魅力と、役者の個性が染み出した一人一人のキャラクターの魅力を引き出しまくっているのが、本当に天才としか言えなくて……

百聞は一見に如かずだと思うので、ぜひ、こちらをご覧ください!

[ナゴヤ座]SAZEN -魔剣の章- 第一幕[ナゴヤカブキ] https://youtu.be/KlkR0sX1CMw @YouTubeより

[ナゴヤ座]SAZEN -魔剣の章- 第二幕[ナゴヤカブキ] https://youtu.be/BptF7eSXtkY @YouTubeより

これは、今は上演していないSAZENという片目片腕の怪剣士丹下左膳が主人公の演目なんですが、BENTEN the KIDの脚本を書かれている右来左往先生の世界観をどっぷり味わっていただけると思います!

しかも、これ、無料で観れちゃうので、是非に、是非に!

 

更に、ナゴヤ座の凄いところは、配役が固定ではないんです。

BENTEN the KIDの主役の弁天小僧も、日によって違う人が演じたりします。

全ての役柄が、ダブルキャスト、トリプルキャスト、それ以上のバージョンがあったりします。

ダブルキャストの舞台を、それぞれの配役で観比べたことがある方なら分かると思いますが、演じる役者が変わると、同じ脚本で演っているとは思えないぐらい、作品の色がガラッと変わります。

その化学反応が、毎公演のように起こるので、何度観ても新鮮に面白い、変化を感じるとより一層面白い、これは、通わずにはいられまいて!

力のある役者さん達が、それぞれの解釈で作り上げたキャラクターは、お芝居の中の人物だと解っていても、惚れ込んでしまうぐらい魅力的です。

台詞回しで、表情の作り方で、ちょっとした仕草で、立ち回りで、弁天小僧が、日本駄右衛門が、赤星十三郎が、南郷力丸が、忠信利平が、浜松屋が、血肉を与えられる感覚、何度観てもゾクゾクします。

キャラクターの性格や背負う過去も、キャラクター同士の関係性も、演じる役者の組み合わせによって、全然違うものになって行く……この感覚、舞台好きなら、めっちゃ血が滾ると思います!

…………はい、お察しのとおり、滅茶苦茶通ってます。滅茶苦茶通っているのに、毎週、腹筋割れちゃうぐらい笑って、うっかり感動で泣きそうになってます。みんなも、私と同じ沼の住民になると良いよ。

マイベスト配役を見付けても良し、その日その日の関係性の変化を楽しむも良し、金土日の3日とも全部配役が違ったりする贅沢さを、ぜひ味わっていただきたいです。

推し役者ができたら、推しが色んな役に挑戦する姿が観れる! ということだけでも、天に向かってハレルヤ! と叫びたいぐらい感動します。

当日、開演するまでその日の配役が分からないというランブロ感も、段々クセになって来ます。

が、推しが初役の衣装で現れた瞬間、血湧き肉躍りすぎて、萌え貧血を起こしかねないので、注意が必要です。ビークール。

 

そして、ナゴヤ座独自のシステムも、オタク魂の中枢にぶっ刺さるものがあります。

まず、ナゴヤ座では、演目中、役者にオオムコウを掛けることを推奨されています。

オオムコウとは、歌舞伎などで、贔屓の役者に向かって「◯◯屋!」と屋号を叫ぶあれです。

と言うと、なんだか難しそうな感じがしますが、ナゴヤ座のオオムコウは、もっとゆるっと気楽です。

役者がキメポーズを取った時に、その役者の名前を叫ぶのが基本です。

座長の名古屋山三郎さんであれば、「サンザ!」みたいに、噛まずにオオムコウできる呼び名が決まっています。

開演前に、レクチャータイムがあるので、そこで頑張って覚えてみてください。

と言っても、◯◯ザや◯◯スケが多かったりして、最初はよく分からないと思うので、周りの声に合わせて、なんとなくニュアンスで声出してみても良いと思います。

慣れてくると、推しの名前を叫べる応援上映感に、めっちゃテンション上がります!

全員でキメポーズを取った時の、「ナゴヤ座!」、二人の役者がキメた時の、「ご両人!」なんかは、初心者でも安心して叫べるオオムコウなので、恥ずかしがらずに、バンバン声出しちゃってください。

などと語っておりますが、ついついお芝居に見入ってしまうタイプの私は、ナゴヤ座歴2年半を超えているにもかかわらず、未だにオオムコウ出遅れております……なので、みんな、本当に恥ずかしがらず……少なくとも、私よりは上手いから……!

 

そして、オオムコウとともに、おヒネリのシステムもあります。

おヒネリとは、簡単に言えば、紙に小銭を包んで舞台に投げ入れるチップの制度なんですが、投げた小銭が当たると役者に怪我をさせてしまいかねないので、ナゴヤ座では、ゴムを紙で包んだ物をおヒネリと呼んでいます。

それじゃあチップにならないじゃないか、と思いましたか?

それがですね、非常に良いシステムが用意されているんですよ。

ゴヤ座には、おヒネリガチャと呼ばれるガチャガチャの機械が役者の人数分、置かれています。そう、あの、スーパーとかゲームセンターとかに置いてある、小銭を入れて回すとカプセルが出て来るアレです。

ゴヤ座のガチャガチャのカプセルの中に何が入っているかと言うと……おヒネリ2個!

そう、ガチャガチャを回すことによって、実質的にチップが役者に入る仕組みになっているのです。だから、役者の人数分のガチャガチャがあるわけです。

推しに直接的に課金できる制度……これは、ヤバいです。

ちなみに、1回500円。親切にも、両替機も用意されています。

カプセルには、おヒネリ2個の他に、役者の写真やナゴヤ座のロゴなどの缶バッジがおまけで入っています。そして、時々、当たり券が入っていたりもします。

当たり券が出ると、ブラインドくじ方式の役者のフォトカードがもらえます。演目中の衣装バージョンも、素顔の和装姿バージョンもあるのが、ファン心を解り過ぎている……しかも、定期的に新作が追加されちゃうんですよ……福利厚生が手厚すぎて、こわい……っ!

更に恐ろしいことに、このフォトカード、終演後に、役者さんから直接サインをもらえちゃうんです。

板の上から降りた後の、肩の力が抜けた状態になった役者さんと直接お話しして、舞台の感想をお伝えできたり、ちょっとした裏話が聞けちゃったり、ゆるほわーな素顔を垣間見せていただけちゃったりするの、有り難すぎて、拝みたくなります。ナゴヤ座さま、ありがとう……

役者沼の味を知る方なら分かると思いますが、板の上のバリバリカッコイイ姿と、フリートークの時のほわーんとした素顔のギャップって、本当に、心臓ど真ん中にギュン! とぶっ刺さるんです。それが、対面で味わえてしまう……恐ろしい……

ちなみに、ナゴヤ座に初めて行ったお客様には、ポストカードが渡されます。これは、好きな役者1人からサインがもらえるもので、サインサービスのお試し版みたいなものです。これで、ギュン! を味わってしまったら、もう、ガチャを回さざるを得ない……ウェルカムトゥーナゴヤ座沼!

 

もう、何言ってるのかよく分からなくなって来ちゃったけど、とりあえず、舞台オタクの皆、ナゴヤ座に来てー!