hujiru12’s blog

観劇感想ブログです。

5月3日はTRASHの日

5月3日はTRASHの日!ということで、カブキカフェナゴヤ座で名古屋虎三郎(トラザ)さん、名古屋虎之助(トラスケ)さんとしてご活躍されているお二人について語ってみたいと思います。

私が初めてteam TRASHのお二人、長谷川聖さんと神田丈志さんを拝見したのは、名古屋を中心にご活躍されるアクションカンパニーRE-actさんの公演「祟りの祀り」を観に行った時です。

2016年11月に初めてナゴヤ座に行った時に、お手伝い出演をされていたRE-act代表の手嶋さんが「来月、公演やります!ナゴヤ座からサンザ(名古屋山三郎)さんとサンスケ(名古屋山之助)さんもゲスト出演します!」と告知していたのを聞いて、その場で「祟りの祀り」のチケット予約をした記憶があります。ナゴヤ座の何でもアリなアクション観て、テンションがめちゃくちゃ上がっていたんだと思います。

「祟りの祀り」では、長谷川さん、神田さんは、ナゴヤ座のベテランゲスト(という名のお助けマン)水谷健さんと一緒に悪鬼という役を演っていらっしゃいました。スチームパンクなマスクでお顔を隠して、白いひらみ最高な衣装+黒いコルセットみたいなベルトの悪鬼、ビジュアル最高でした! 長谷川さん、神田さんは、サンザさん、サンスケさんの行方不明になった師匠役というめちゃくちゃ胸熱な設定で、四人の立ち回りシーンのカッコ良さに痺れました。ナゴヤ座沼の淵に立っていた私の背中が蹴り飛ばされた瞬間でした。

 

その後、2017年2月18日に、ナゴヤ座にTRASHのお二人がゲスト出演されました。あのアクション凄いお二人がゲストにいらっしゃるのかぁ、楽しみだなぁとナゴヤ座の公演を観に行って……雷を落とされたように長谷川さん推しになりました。

当時のナゴヤ座では、義経と弁慶の出会いの物語に、現代(当時は平成)からタイムスリップして来た与一(本名はヨウイチ)が絡む「遮那王」という演目が上演されていました。TRASHのお二人は、そのスピンオフである前夜譚、牛若丸が鞍馬天狗に師事することになる物語「牛若」に出演されました。

研修生の一代目名古屋参太郎(タロウ)さん(後に名古屋参之丞(ノジョー)さんを襲名されましたが、今はご卒業されてしまっています。しんみり…)が牛若丸を演じ、長谷川さんと神田さんは、鞍馬天狗に仕える赤鬼のアカと青鬼のアオをそれぞれ演じられていました。そして、鞍馬天狗がサンザさんで、牛若丸が成長した後の遮那王がサンスケさんでした。

今では考えられませんが、当時のナゴヤ座の演目にはしっかりした台本は無く、「牛若」も、座長のサンザさんが書いたA4用紙一枚分の設定で上演されていたそうです。

コバナシなどでも話されていらっしゃるように、TRASHのお二人は、「アクションマンなので、台詞は無い役で」という条件でゲスト出演されたので、アカとアオは、人間の言葉を喋れない鬼達でした(リプトンとかハイホーとか単純な単語は喋ってました)。だけど、アカやアオがどんな性格をしていて、今どんな気持ちなのかが、全部伝わって来たんです。

それだけじゃなくて、プロットだけのシンプルな台本で演じているとは思えないストーリーが見えました。台詞ありのお芝居をする鞍馬天狗や牛若丸(と成長後の遮那王)だけじゃなくて、アカやアオのアクションもストーリーテラーになっている。お芝居の立ち回りが大好きで観劇沼に入った私ですが、TRASHのお二人のアクションは、今までの殺陣に対する概念を打ち壊す力を持っていました。アクションの表現力って、こんなにも幅を広げられるものなんだ…!と、感動しました。

f:id:hujiru12:20230501083151j:image
f:id:hujiru12:20230501083146j:image

おっきい刀に面+隈取メイク。ビジュアルのカッコ良さにも射抜かれました💘

当時のナゴヤ座は、一部が演目、二部がアフタートークという構成でした。アフタートークにはすっぴんで出て来られるのですが、アカアオの時とはまた違うイケメンっぷりにドキドキしてしまいました。

f:id:hujiru12:20230502081653j:image

「お気軽に神ちゃんと呼んでください」「お気軽に長谷川さんと呼んでください」と自己紹介していたお二人が名古屋虎三郎と名古屋虎之助を襲名されたのは、2017年7月28日。

f:id:hujiru12:20230502082131j:image

トラスケさんの虎柄の傘を使った名乗り口上、めちゃくちゃ美しかったので、また拝見したいです! トラザさんが口上中に投げた羽織を控えているトラスケさんがキャッチするのもすっっっごく胸熱だったので、また観れたら良いなぁ…!

座員入りする時にはもう、髑髏城の七人〜下弦の月〜にご出演されることが決まっていたお二人は、9月11日の壮行会(後に名古屋参永已(サンエー)さんと名古屋参十郎(ジューロー)さんを襲名される永田祐己さんとごとーあきらさんのゲスト参加が発表されたのもこの日でした)を経て、東京へと旅立って行かれました。

f:id:hujiru12:20230502083017j:image

それにしても、髑髏城に出演されたアクションマンが二人も座員にいる一座って、凄いですよね…! 幕が上がってすぐの声で「あっ、トラザさんだ!」って分かるところから始まって、お二人とも全編に渡りめちゃくちゃご活躍なさっているので、ゲキシネで月髑髏やる時は、ぜひ観に行っていただきたいです!(公式様、その節はぜひ、名古屋の映画館も上映館に加えてください。何卒!)

f:id:hujiru12:20230503134143j:image

お二人が東京に行っている間、この子がナゴヤ座でお留守番してました。

無事、月髑髏のロングラン公演を完走して名古屋に凱旋されたトラザさんは、ちょっとお顔が丸く可愛らしくなっていらっしゃいました。360度の広い劇場を走り回って消費するカロリーよりも、すっかり仲良しになった桃さんこと安田桃太郎さんに毎晩飲みに連れて行かれたカロリーの方が上回ったって、よく考えたらすごいことですね😂

この出会いが、何度かの桃さんのナゴヤ座ゲスト出演を経て、2019年8月のBRATSさん(東京中心に活躍されている桃さんが社長を務めるバッチバチのアクションカンパニー)とナゴヤ座のコラボ公演に繋がったのは、本当に胸熱です。

当時、ナゴヤ座で上演されていた「BENTEN The KID」にただゲスト出演しただけじゃなく、BRATSさんバージョンのアレンジBENTENまで観せてくださったの、凄すぎて震えました…! 是非とも、またBRATS×ナゴヤ座の化学反応を見たいです!

f:id:hujiru12:20230502224340j:image

話がちょっと逸れました。

team TRASHとしてのパフォーマンスを最後に観たのは、確か、神田さんが所属されていた舞刀ユニット暁(水谷さんも所属されていました!)のファイナル公演だったと思います。2019年3月……ということは、もう4年前なんですね!

f:id:hujiru12:20230502225247j:image

2019年4月の横川結城さん(ナゴヤ座では、名古屋参十坐(トーザ)さん)のお誕生日イベントでは、長谷川さんと神田さんがスーツ姿でバッチバチの立ち回り(椅子に座った横川さんを挟んでのゼロ距離殺陣を安全にやれてしまうお二人の技術が凄すぎました!)を観せてくださったり、2019年はTRASHの活躍が盛んな年だったのかも…? またそういう年が来てくださっても良いんですよ。ちょうど4年後ですし! トラリンピックの開催、期待しております🙏

RE-actさんの2018年の公演「傀儡の石英」に出演された時に作られた手ぬぐいとTシャツ、めっっっかわだったので、TRASHグッズの再販もしてくださったりしたら嬉しいなぁ

f:id:hujiru12:20230503075250j:image

最初は「台詞の無い役」が出演条件だったお二人、その条件が破られたのは、2017年6月、サンザさん不在時の留守を預かって長谷川さんが鞍馬の鴉天狗を演じた時でした。

f:id:hujiru12:20230503122659j:image

初めて聴くお役の長谷川さんのお声は、感涙しちゃうぐらいカッコ良かったです…「座長の大事な役を預かる」というご姿勢と、サンザさんとは種類の違う凄さで圧倒する立ち回り(最後に鴉天狗が倒れる時、サンザさんの鴉天狗は前に倒れて、長谷川さんの鴉天狗は後ろに倒れるのが特徴的でした)にも感動しました!

トラザさんとトラスケさんがナゴヤ座で初めて主役を演じたのは、2018年7月の「ナゴヤ座シャッフル」というイベントでした。「YAJIKITA2、どの配役で観たい?」というTwitterアンケートの結果で一位になったのが、トラザ弥次さん、トラスケ喜多さんの組み合わせだったんです! イベントだったこともあり、一幕だけの上演でしたが、虎屋のお二人の初主役、とても胸熱でした。

この日、昼は「ナゴヤ座ハンティング」という円頓寺商店街周辺に隠れたSAZENのキャラクターを捕まえるという別のイベントがあったんですよ…すごい一日でした…!

f:id:hujiru12:20230503144322j:image

f:id:hujiru12:20230503144502j:image

フルバージョンの虎屋ヤジキタを観たい! という夢は、翌月には叶いました。夢を叶えてくださるスピード感、愛しております!

ソロでの主役を演じられたのは、トラスケさんが先でした。

f:id:hujiru12:20230503154620j:image

トラスケさんの弁天小僧菊之助は、サンスケさんの弁天とはまた違う華がありました。日舞講師もされていらっしゃるだけあって、女装時のおなみさんの所作の美しさはさすが過ぎました! トラスケさん=美しい女形なイメージが出来上がる最初のきっかけのお役だと思います。

トラザさんの最初のソロ主役は、ナゴヤ座版斉天大戦(ちくさ座で上演された極上ナゴヤカブキ「斉天大戦」のナゴヤ座上演バージョンです)の孫悟空でした。ジャンプヒーローのような真っ直ぐな主人公っぷり、キラキラしてました!

f:id:hujiru12:20230503175402j:image

「Macbeth」や「風来ボウイ」ではトラザさんが、「SEIMEI」や「Turandot」ではトラスケさんが主役を演じられ、最近ではもうすっかり、お二人がメインの役を演られるのは当然、という感覚になって来ました。だけど、毎回膨らませた期待を遥かに上回る凄いお芝居を観せてくださる。お二人の舞台作りに向ける情熱に、魅せられ続けています。

トラザさんは、ナゴヤ座のアクション監督もされていらっしゃいます。トラザさんが初めて殺陣を付けた作品は「虎の尾」だと思いますが、ナゴヤ座の一作目の「月読」を観た時に感動したサンザさんの操られて戦う動きを、ストーリーの山場にしっかり組み込んだ立ち回りに、ドキドキしました。名古屋参駄右衛門(ダエモン)さん演じる弁慶と、サンザさん演じる富樫の戦いは、今でもナゴヤ座の好きな立ち回りの上位に入り続けています。

それから、右手を使わないというめちゃくちゃ難易度の高い縛りの掛かった「SAZEN」の丹下左膳の立ち回りは、天才殺陣師のトラザさんと、人間の枠を外れたような身体能力を持つサンザさんがタッグを組んだから出来たもので、DVDで過去の映像を観る度に新鮮に感動しています。一生、もう一度観たいと焦がれ続ける演目です。

ちくさ座という客席が円形の舞台を囲む配置になっている外部の劇場での公演で行われる極上ナゴヤカブキ(年一回のナゴヤ座特別公演)では、殺陣を観せるには難しいその構造を、むしろ強みに変えるような立ち回りの画を作る技をどんどん進化させて、毎年、そのカッコ良さに痺れ上がります。

f:id:hujiru12:20230503202638j:image

トラスケさんは、その所作やお姿の美しさで、ナゴヤ座の女形の代表格になっていらっしゃいます。ナゴヤ座で、ヤジキタ作品などのババア役を除いて、女性キャラクターを演じられたのは、トラスケさんの魔苦減須夫人が初めてでした。夫を唆して罪を犯させる悪女という難しい役を作り上げたトラスケさんの、深く掘り込んで行くお芝居へのアプローチは、アクションマンの肩書きを忘れさせる凄みがあります。

その一方で、ノープランでも振られたら絶対に何かをやりきる、そして、滑ったとしてもそれを笑いに変える天性の空気感を持つという、コメディアンとしてのスキルもめちゃくちゃ高いです。トラスケさんが初めて、「YAJIKITA2」の閻魔王を演った時の衝撃は忘れられません。お腹がシックスパックになるかってぐらい笑いました!

ゴヤ座に出演されるようになってアクション以外の才能を溢れんばかりの満開に開花させてしまったために、最近のトラスケさんはなかなかアクションをやらせてもらえないと嘆いていらっしゃいます。シリアスでもコメディーでも輝くお芝居は、6年前には台詞のある役はやらないと言っていた方だとは思えません。ですが、トラスケさんの立ち回りの剣筋の美しさを見ると、バッチバチに戦う役もまた演っていただきたいなぁと思います。いや、でも、ガッツリお芝居する役も観たい…贅沢な悩みですね。

f:id:hujiru12:20230503203758j:image

トラザさんのお芝居の凄さは、役を憑依させたような観ている者の魂もヒリヒリさせる迫力です。「SAZEN」の栄三郎のお芝居に魅せられて以来、トラザさんが演じる悪役の切なさに、心臓を掴まれ続けています。「風来ボウイ」の石松のような真っ直ぐなキャラクターを演じる時は、戦隊モノのレッドの魂を感じるのに、魔苦減須のような悪役を演じると、憎しみや哀しみが色香となって匂い立つ…その魅力の二面性にやられます。

f:id:hujiru12:20230503205625j:image

TRASHのお二人がナゴヤ座ゲスト出演の誘いを受けた時、神田さんの方が乗り気で、その理由が、「長谷川さんの凄さをもっとたくさんの人に見てもらいたいから」だというお話を聞いた時、相方が一番のファンという関係、めちゃくちゃステキだな!と思いました。

トラザさんは「トラスケ嫌い」というツンな発言をされることが多いですが、トラスケさんに対して、「自分にはできないことをやれるヤツ」というリスペクトを持っていることが時折漏れ伝わって来るので、双方向に尊敬し合える関係なんだなぁとニコニコしちゃいます。

トラザさんもトラスケさんも、ぐんぐん魅力を増させて、活躍の場を広げていらっしゃいます。これからもきっと更に活躍されるので、応援させていただきたいです!

だけど、やっぱり、お二人が刀を交わらせるアクションのカッコ良さは世界一なので、team TRASHとして、または、ナゴヤ座の虎屋としてのコンビでのご活躍も、観れる機会がたくさん訪れたら嬉しいです。

f:id:hujiru12:20230503212823j:image

寅年の幕開けを飾った金虎酒造さんでのお二人のパフォーマンス、めちゃくちゃカッコ良かったです! また観たいなぁ✨

取り留めない語りになってしまいましたが、お二人のアクションを初めて観た時から大ファンです。これからも、お二人が板の上に立ち続けてくださる限り、還暦を過ぎても、喜寿を迎えても、全力で応援し続けます!

TRASHの日、おめでとうございます🐾