hujiru12’s blog

観劇感想ブログです。

12/28忍者隠密隊B.C.Aワンマンライブ「鬼火-ORGE FLAME-1」感想

1曲目、花歌

最初にこの曲が来るんだー! と驚きました。1曲目からピンクペンラ振って、ノリノリでヒラヒラするライブの始まり方、BCAの新しい魅力の見せ方を感じました。初っ端からエンジン全開ではしゃげるの、めちゃくちゃ楽しかったー! セトリ考えた方、天才です✨


メンバー紹介

TANBA様の早口言葉チャレンジになっている「世界最速の三味線奏者」SEKI様紹介、成功すると拍手が起こるフロアの一体感、大好きです! BCAライブの毎回のお楽しみになっているユッキーの頬の梵字(?)はなんだろな?コーナー、今年の漢字の「税」は、世知辛さがすごかったですが、ユッキーの可愛さが全てを浄化していました! 初参戦のドラム…じゃなくて太鼓の達人、GUNちゃん、笑顔が可愛い爽やかイケメンでした。ドンドンカッのリズムをドラムで刻むのカッコ良かったなぁ…BCAの正式ニンジャーになっていただけることを願ってます🙏


2曲目、勝歌

1曲目に続いて、エンジン全開で飛ばす選曲で、フロアのギアもガッ!と入りました。「起死回生の一発」☝️ってやるの、めちゃくちゃ楽しいー! HANZO様の蜘蛛の巣テープ、ビャー!からのくるくるー!鮮やかで見惚れます。


体術訓練

ライブハウスでアクロバット技を観れてしまうって、よくよく考えたら、ものすごいことですよね。私が知る限り、こんな華麗な跳び蹴りやバタフライツイストできちゃうV系バンド、他にいないです…唯一無二のライブパフォーマンスができちゃうBCA、最強🙏✨ 今回は、ついに、体術訓練での客席降りが…! あのスペースで安全に技を決められる身体制御能力の高さに震えます。


3曲目、守って守って守り抜く

ファンサ曲の勢いが、首を取る迫力なところ、めっちゃ忍者で大好きです😂 TANBA様に、「俺はお前らを…」と指差していただくと、何に襲われても絶対大丈夫だ! と思ってしまいます。守りの説得力が強い!


4曲目、恋の矢文は正々堂々

BCAのアイドル曲ー! 今宵も、ちょうキュートでいらっしゃいました。笑顔禁止を満面で破るTANBA様も、「めっちゃ笑ってる! めっちゃ笑顔じゃんね?」と客席に目で訴えるHANZO様も、めっかわの塊です! 「そなたが好き」のところでステージに🫶できるのが嬉しい曲です。


5曲目、Present Day

TANBA様の青空に向けて広がって行くような歌声と、HANZO様のお日様が作る影をなぞるようなラップが、すごく好きです。聴く度に、良い曲だなぁ…の感情がおっきくなって行くのは、お二人が地道に積み上げた鍛錬の力なんだろうなぁ。タオルをブンブンしながら、いろんな感情がぐっと込み上げて来ます。


6曲目、暗獣

BCAのメンバー、皆実力が凄すぎるから、それぞれのスキルをたっぷり堪能できるソロコーナーがあるの、めちゃくちゃ嬉しい! HANZO様の暗獣ダンス、初めて観た時から、とんでもないカッコ良さに魂が痺れましたが、更にキレと表現力に磨きが掛かっていて、感動しましたー! 今回は完全なソロでしたが、三人分の華とパワーを感じました。すごい…! フロアを煽るジェスチャーも、好きです! 楽しいー!


7曲目、満月の夜

SEKI様のソロ演奏! 三味線の演奏に合わせてジャンプ!ジャンプ!するの、めちゃくちゃ楽しくて大好きです。三味線を弾いてるSEKI様が、誰より高くジャンプして、くるくる回ってるの、本当にすごい神業だぁ…と思っていたら…弦が切れちゃって、三弦が一弦に…! すごいピンチなはずなのに、「今、一弦使いになってまーす。このまま演りまーす」と笑顔で宣言して、本当に一弦で魅せる音を作り出しちゃうSEKI様、やばかったです……世界を震わせる鬼の名が相応しすぎるー!


8曲目、わんこそば〜Guiter soro〜

ユッキーことYUKI法師様のソロターン、今回はどんな凄いギターテクニックを見せてくださるんだろう? と思ったら、唐突なわんこそば! わんこそば提供係に登場された皐様が可愛いなぁ…ところで、わんこそばギターソロって何!? と戸惑いが消せない内に、ステージ上でユッキーのわんこそばチャレンジが始まりました。なんだか分からないまま、頑張ってもぐもぐしつつも、ちゃんと綺麗に食べようとされているお姿に、気付いたら、「がんばれー!」と声援を飛ばしていました。完食後、ちゃんとお水も飲んで、カッコイイギター演奏を披露していただいて、なるほど、確かに、わんこそば+ギターソロだ!と納得しました。なんでそこを足し算したのかの謎は、まだ解けません! BCAのギタリストが、ユッキーで良かったなぁ…としみじみ感じました😂


9曲目、ハネノカタチノキズ

忍者隠密隊BCA頭のTANBA様のソロ曲! 前回のソロライブで初めて聴いた時の、魂を搾り出すような歌声にも感動しましたが、喉の使い方に格段に磨きが掛かっていて、綺麗に通る歌い方から、ギアを別の場所に入れ替えてシャウトするような力強い歌い方に変化させる歌声に、痺れてしまいました。めちゃくちゃカッコ良かった…! ライブの度に、TANBA様の歌声が進化をしていらっしゃって、本当にすごいです。紅愛さんという歌声のプロフェッショナルがお近くにいらっしゃる影響の大きさを感じます。大好きなお声が、更に艶と深みと広がりを増して、ライブ中、耳がずっと幸せです✨ 他のメンバーのソロパート中の、TANBA様のお色直しも楽しみです。今回のシアーシャツも、色っぽカッコ良くて最高でした!


MC

ライブが良い、アクロバット技が凄い、だけでも唯一無二のバンドなのに、BCAの凄さって、そこにプラスして、MCがめちゃくちゃ面白い、ってことなんですよね。武将様、忍者様にお体を貸されていらっしゃる方々は数多くいらっしゃいますが、史実エピソードをこんなに面白く語れるのは、TANBA様しかいらっしゃらないんじゃないでしょうか!? 正妻が愛人をちょっとだけ殺しちゃったトークが面白すぎて、式部塚、行ってみたくなっちゃいました😂

TANBA様のソロ曲のしっとりした空気を、間髪入れずに蕎麦を啜る音で塗り替えちゃうHANZO様も、天才忍者っぷり全開でした! そして、今年一年の進化として、「めちゃくちゃ上達した!」と自称するに相応しすぎるボイパの凄技、ずっと聴いてたくなっちゃいました。来年は、HANZO様のボイパターンのある新曲が生まれるかもしれませんね!? 期待してます!

SEKI様の三年陸サーファートークもめちゃくちゃ笑ったし、わんこそばの食べ方の反省するユッキーも可愛かったし、GUNちゃんのトークももっと聞きたくなっちゃったし……BCAのMC、ずっと聞いていたい! でも、曲もずっと聴いていたい! 精神と時の部屋でのライブを開催してください🙏


10曲目、EVIL SONG

歌詞をちゃんと知りたい曲No.1です! Ninja Theaterの世界に繋がる曲なはずなのに、歌詞を聴き取りきれない自分のリスニング能力の無さが悔しい…😭 ザ・V系!って感じのTANBA様の歌い上げ方と、その世界観を膨らませるスパイスになるHANZO様の「I say!」が、すごく好きです。上手くハマるような振りを考えられたら、楽しそうだなーって思います! それにしても、TANBA様の歌声、好きだなぁ…(2回目)


11曲目、謳歌

曲の入りの「忍びねぇなぁ」「構わんよー!」コーレス、やればやるほど楽しくなりますね😂 前回はだいぶん戸惑いましたが、今回は各メンバー分やれて、だいぶん馴染んで来た気がします! 拳を突き上げてオウオウできるのも良いですねー。ライブでいろんな曲を聴くと、BCAの音楽の幅広さに改めて驚きます。やとみ先生の曲作り、すごいですね…! そして、どの曲も魅力200%引き出すパフォーマンスをするBCAも天才です!


12曲目、お前の愛を主にするなら

BCAの曲の中でも大好きリストのトップに入る曲なので、今回のライブでも聴けて嬉しいですー! ライブの度に持ち歌が増えて行ったので、セトリに入らない曲も出て来るんですよね…すごいなぁ😳 「お前の愛を主にするなら」と歌い上げた後の、細かくリズムを刻む転調がすごく好きです。また聴きたくなっちゃったので、YouTube観ます!


13曲目、Black Clad Assassin

BCAといえばこの曲!なので、やっぱり聴けると、めちゃくちゃウキウキしちゃいます! DOJUN様の思い出も蘇って来るので、これからもセトリに入り続けて欲しいなぁ☺️ お立ち台の上で、グッと顔を寄せたTANBA様に挑む表情を返すHANZO様のお姿に、一歩対等な立場へと足を進める気概を感じて、なんだか感動しちゃいました!


アンコール

BCAライブでも「アンコール!」の声出ししたいなぁ…というのが密かな夢です。来年は叶えられるかな? 最初の一声を出す勇気はなかなか出せませんが…っ


14曲目、START

チェキで拝見した柄シャツに着替えたお姿で登場されたTANBA様、何をお召しになってもバッチバチに似合ってしまう上忍様、最強で最高です😇 フライングカウントダウンで、カウントダウンライブの夢をバーチャルで叶えてくださったの、嬉し過ぎました! いつか、リアルでも叶えていただきたい気持ちと、お正月はおこたでぬくぬく迎えていただきたい気持ちがバトルして、若干後者が優勢です。ハードな日々を過ごされている忍びの皆様には、年末年始ぐらいゆっくりお体を休めていただきたい…🙏

忍びの術で一足早く迎えた新しい年のスタート、思いっきりジャンプで始められて、ワクワクいっぱいな一年になること、間違いなしです! 2024年のBCAも楽しみですー!

1月21日には麗麗さんとの共闘ライブも決まっていて、12月28日のライブの余韻が消えないうちに、また次のライブを迎えられるのが、幸せです☺️

ヒモのはなし名古屋組感想(マリ・学生編)

東京公演を観てからの名古屋組観劇だったので、「台本も少し違うって言ってたけど、どれぐらい違うのかな?」とワクワクしながら観に来ました。

そして、幕が開いた瞬間、オープニングから全く違って、え? 別の舞台を観に来た!? という衝撃が走りました。

正直な気持ちを言うと、下北沢の小劇場で味わったあのつかこうへい作品の空気が、名古屋の方の好みに合うだろうか? という不安を少しばかり感じていました。

私自身がエンタメ要素強めの、ワクワクするお芝居の方が好きだからかもしれません(でも、今回のヒモのはなし観劇で、その固定観念はすっかり無くなりました!)が、初見では意味が掴むのが難しいThe 演劇! という舞台が受け入れられるのかな? と、ちょっぴり思いました。

だけど、実際に名古屋組のヒモはなを観てみたら、装飾を少し外してシンプルになった台詞や、「ヒモのはなし」の元になった「ストリッパー物語」から取り入れられた台詞で、ストーリーが格段に解りやすくなっていました。

オープニングのショー形式の登場人物紹介や、エンディングのダンスなどエンタメ要素も付け加えられた演出も相まって、「めちゃくちゃ取っ付きやすくなってる!」とビックリしました。

演出家さんが変わるとこんなにも作品が変わるのか! という衝撃と共に、久保田創さんは、東京で活動されている方のはずなのに、なんでこんなに名古屋の演劇界の事情に精通なさってるんだ!? という疑問が頭の中をぐるぐるしました。

あまりにも不思議だったので、直接創さんにお話を聞いてしまいました。すると、「名古屋の役者さんたちを見ていたら、(東京公演のままの演出は)何か違うなってなった」という答えが返って来て、役者さん一人一人の持っているものに向き合って演出を付けられると、こんなにもしっくりと名古屋の空気感に馴染む作品になるのか…と、演出家さんの凄さにますます感動してしまいました。

最初に観た時は、同じ卵とご飯を使っているはずなのに、東京組・東名組と、名古屋組では、天津飯とオムライスぐらい違うものが出て来た! 食べ口の優しさを例えるなら、東京で観たヒモはながスパイスの効いた本格カレーで、名古屋組のヒモはなはカレーの王子さまだ! という感想を呟きましたが、千秋楽まで観て抱いた印象は、「名古屋組のヒモはなは、じっくり煮込まれたおでんみたい」です。

それぞれの具材の美味しさを最大限に引き出して、日を重ねるごとに味わいが増す、そんな優しさを感じる皆大好きな料理だなぁ…と。

後半戦に入ってからは、更に人情味が増して、味噌おでんになった気がします。名古屋の魂が染みた大好きな味です!

 


名古屋組の皆様についても、一人ずつ語らせていただこうと思います。

(めちゃくちゃ長くなりそうだったので、三回に分けようと思います)

 


マリ役、フランさん

シゲの娘(東京公演では美智子でした)が、おばあちゃんに父親にも似て来たと言われるのを「でも、嬉しいんです」というのが、最初に観た時に不思議だと感じました。シゲが家を出た経緯からして、祖母はきっと良い意味では言っていないはずの言葉で、美智子の立場からしても、家庭を捨ててストリッパーのヒモをしているような父親に似ていると言われるのは普通嫌なのではないだろうか? と思いました。

なのに、それを嬉しいという美智子は、どこか浮世離れした、何かを達観したような少女だという印象を持っていました。

でも、フランさんのマリの、「悔しいけど、親子の繋がりを嬉しく感じてしまう」というのが伝わって来る言い方に、シゲの娘という登場人物を身近に感じるようになりました。

明美から差し出されたお金を受け取ることを拒んだ後の唐突な「父はいつもあんなふかふかの羽布団で寝ているんでしょうか? こんなことで父は立派なヒモになれるんでしょうか?」という言葉も、涙をいっぱいに溜めて口にするフランさんのマリを観て、あぁ、これが、この娘の精一杯の意趣返しだったんだな…と、すとんと腑に落ちました。

シゲの一人語りの最後の言葉が、「こんなことで父は立派なヒモになれるのかって言われりゃあ…」なのは、パチンコに行ったふりして、この二人の会話をどこかで聞いていたからなのかなぁ。

初観劇の時、明美とのレディ・サンフランシスコのダンスシーンの後、マリが読み上げる明美へのエアメールの内容で、大学はすぐに辞めてダンサーを目指そうとしていることが語られる演出に驚きました。かつての明美と同じ夢を見て、実際に異国へと旅立つ少女、というマリの立ち位置がここで解ることで、その後のストーリーがめちゃくちゃ分かりやすくなります。創さんの名古屋組の演出の、整理のされ方が見事だなって思うところの一つです。

何度か観ているうちに、もしかして、マリが、父親に似ていて嬉しいというのは、それが、自分のやりたいことのために病気の母親を裏切って外の世界へ出て行く己自身の言い訳としてなんだろうか? とふと考えてしまいましたが、さすがに穿った見方過ぎるかもしれません…

名古屋組は、後半に入って、登場人物達皆の感情が、より分かりやすくなった! と感じたのですが、最初に出て来るマリが、より等身大の少女になっていたことが、そう感じた一番の理由だった気がします。

公演期間中にぐん! と進化したフランさんのお芝居の伸び代に、感動しちゃいました。

物語終盤の明美の一人語りの後に出て来るマリは、ニューヨークでの現実の姿でもあり、明美が見る「もし娘が生まれていたら」の夢でもあると思うのですが、フランさんのマリは、一緒に踊った日から、明美を姉のように慕っているのが全身から伝わって来るので、二人の世界が距離を越えて繋がったように感じました。

千秋楽のカテコの後、会場全体を震わせる拍手の中、再び登場したマリが、明美が掴めなかった夢を見事に叶えた宣言をした満面の笑顔、めちゃくちゃ泣けました!

 


学生役、織田佳祐さん

東京組、東名組、名古屋組の学生の中で、一番等身大の恋する青年だったなぁと思います。

それは、もしかしたら、名古屋組の学生だけが、「織田ちゃん」という名前を与えられていたのも関係しているのかもしれません。

几帳面な母親に育てられて、その価値観に縛られてはいるものの、背筋がひやっとするような歪みは感じませんでした。

年上の美しい女性に憧れて恋をして、だけど、実際に手を伸ばす勇気はない。

それが、己自身への自信の無さから来る臆病心であれば、ありふれたラブストーリーの構造ですが、ヒモはなの学生の場合は、ストリッパーという職業をしていた女性と結婚することは世間体が許さない、という意識の方が強いんだと思いました。

織田さんの演じる学生の細かな視線の動かし方で、そういう葛藤を感じ取れるようになりました。

だからなのか、「社会人ですから」という言葉で明美を拒絶する時以上に、靴紐を結ぶシーン(その行動自体が、明美をストリップ劇場に縛り付けることを暗喩しているようにも思えました)で、自ら口付けようとした明美を振り払う拒絶の仕方が、心臓にグサリと刺さりました。

シゲと声を揃えて、「そりゃないよ、学生さん!」と叫びたかったです…

でも、自分には受け止めきれない女である明美の手を取って連れて行かなかったのは、学生なりの誠意なんだろうなぁ。

そして、「踊り、頑張ってくださいね!」も、本心からの言葉なんですよね。

彼も明美の踊る姿に恋をした人間の一人で、だから、「女の人が裸になるの苦手」なのに、長期休みの度にストリップ小屋にバイトしに通っていたんですね…

学生の明美への感情は、恋愛というより推しへの愛に近いのかもしれません。

名古屋組の酔っ払い客が明美に飛ばす野次は、お腹の傷痕を気持ち悪い!と詰るものだったのですが、その声の主が検事になった学生だとして、それは、盲腸手術の傷が酷くなってしまったのは妊娠中だったからで、お腹の子の父親であるシゲが責任を感じていることを知っての言葉だったのかなぁと思いました。

推しへの感情を拗らせた(元)学生が、推しにくっ付いている不純物であるヒモへの恨みを募らせていき、次第に、そのヒモを大事にしている明美へも怒りの矛先が向くようになってしまったのかな…と。

織田ちゃんにも、幸せになって欲しいなー。明美の踊りさえ見なければ、レールから外れない人生が送れたのかなぁ。でも、それって、楽しさを味わえない人生だったんじゃないのかなぁ…とかぐるぐる考えちゃいます。

ところで、完全な蛇足ですが、名古屋組の学生の服装、少しグレー掛かったTシャツにブラックデニムが、オシャレだなって思っていました!

ヒモのはなし(東名組)感想

ヒモのはなし、東名組、大千穐楽、お疲れさまでした!!!

東京公演千穐楽の日に観たのが、私のファーストヒモのはなしだったので、自分の中で、一番ベーシックなヒモはなは、東名組のヒモはなになっています。

戯曲も読まずに観劇したので、耳慣れない言葉を上手く聴き取れなかったり、現実と虚実が交錯する台詞から物語の筋を拾いきれていない部分もあったのですが、気付いたら、ボロボロ涙を溢して泣いていました。頭で理解するんじゃなくて、感情を直接ぶん殴られるようなお芝居を体感した衝撃は、今でも鮮明に残っています。

なので、正直、感想を言語化するのがものすごく難しいのですが、東名組の素敵な役者さんたちへの全力の拍手を、拙いながら言葉にしてみたいと思います。

 


美智子役、青木志穏さん

東名組ヒモはなの、美智子と明美のシーンがとても好きです。

二人でレディサンフランシスコのダンスを踊るシーン、戯曲に書かれていた美智子と明美の踊りの対比、そのままだ!ということに感動しました。実は、ヒモのはなしの戯曲を読んだのは、東京公演を観てからだったので、初観劇した時はそのことは知らなかったのですが、脚の上がる高さとかステップの軽やかさとか、若い美智子の動きには付いて行けない明美の姿に、切なさを感じました。思わず見惚れて動きを止めてしまう明美を促す「ターンしますよ」という声の溌剌さが、眩し過ぎて、明美の胸の苦しさを一緒に味わいました。

ラストの明美の一人語りの後に、ニューヨークでオーディションを受ける美智子が出て来るところで、綺麗に「明美ができなかったトリプルターン」を決めるのが、物語の切なさを更に増させて、ぐぅぅって来ました。

父親のシゲとの関係は、恨みの感情があまり見えないのが不思議な感覚でした。たくさん苦労して来ただろうに、心の透明感を保ったままというか、世俗に塗れない強さを感じて、そこにも明美との対比を感じました。この透明感は、青木さんご自身がお持ちのものなのかな? と感じました。他の出演作も観たくなる素敵な女優さんでした!

 


学生役、山内涼平さん

女嫌いというか女性への免疫の無さを、頑なに合わせない目線で表現しているところ、絶妙な挙動不審さで、観る度にくすりとしちゃいました。物語自体は暗い方向性だけど、登場人物の個性の出し方で、喜劇の色を加えるのが、つか先生の作品の観せ方なのかなぁなんて考えてました。

東京で観た時より、名古屋公演の方が、学生の「ワーッ!」って騒ぎ方がレベルアップしていたような気がします。首の血管の出方がすごい!

明美さんのシャツを投げ捨てるそぶりをした後、裏で顔埋めて「いい匂い…」って呟く不器用すぎる恋愛の仕方、初心の方向性を間違えていて、好きです。

物語の後半で、明美に野次を飛ばす客の声が学生なのが、司法試験に合格して検事になったのに明美に執着する厄介客になっちゃった学生の未来を示唆しているという戯曲の解説を読んで、ゾクッとしました。そして、山内さんは、キチッキチッとし過ぎている家庭で真っ当な社会人になるように育てられた青年の中にある危うい歪みを仄めかすお芝居が上手いな…と感じました。東名組の野次は、お腹の傷痕じゃなくて、ボディラインの衰えに対するものなのが、明美の心を抉る言葉の刃の鋭さを感じて、ぐぅぅ…ってなります。

私の中ではナゴヤ座でのジロウさんのイメージが強い役者さんの、東京での成長を感じて、感慨深かったです!

 


みどり役、安藤絵美さん

今回の舞台で、一番意外性が高いというか、戯曲を読んでイメージするキャラクターと一番ギャップがあるのがみどりだと思います。

戯曲のつか先生語りの部分で、みどり役の女優さんをカリカリに痩せた方だったと書かれていた影響もあるのかもしれませんが、戯曲を読む前の初観劇の時も、「腎臓の病気で休んでいた」「脱いでもストリップにならない体」という言語情報から、病みやつれた体のストリッパーが脳裏に浮かんだのですが、目の前にいるのは、ヘルシー美女の代表(だと思ってます! 絵美さんのボディラインは私の憧れです!)の絵美さんなので、脳が一瞬バグりました。

東京組、名古屋組のみどりも、スポーティーな服装の元気いっぱいキャラなので、これは、敢えての配役なんですよね。そのあたりについて、演出の小川さんや創さんのお話を聞いてみたいです。

だけど、みどりとまことがストリップ小屋を出て行く時のシーンを観ると、みどりはこのみどりじゃなきゃいけないんだ…と納得します。どんな境遇でも、文字通り底が抜けてしまっている明るさを保てるみどり(だからこそ、世間一般の「普通の暮らし」には合わなかったんだと思うと切ないですが)が溢す「不安なんだ…」のいじらしさ、まことじゃなくても抱きしめたくなります!

だけど、結局、幸せにはなれなかったんですよね…それでも、みどりはきっと川崎で笑ってやっていると思います!(ちなみに、初見時は、咄嗟に「トルコ」という単語が「ソープ」に結び付かず、二人の顛末を理解できておりませんでした)

各組で個性出まくっているみどりのストリップ練習シーン、東名組のみどりの真顔がめちゃくちゃツボで、笑ってしまいました。

 


まこと役、熊倉巧さん

シゲ役の桃さんより年上の熊さんが「若いヒモ」役なのが、面白いなぁと思っていました。

実際に観てみたら、常に全力でエネルギー放出しまくっている熊さんは、確かに若いヒモでした。

だけど、手も脚も大きく広げて(あの姿勢の美しさに毎回見惚れました。体幹が強すぎる!)みどりに「来いよ!」と叫ぶまことの頼もしさは、三組の中でもピカイチでした。

それと、桃さんとの気慣れた空気がそう感じさせたのか、シゲに水を差し出すまことには、気遣いのできる大人の顔を感じました。

熊さんの振られたことはどんな無茶でも全力でやる人の良さと、大人の男の包容力が良い感じに滲み出たまことでした。

東京公演では、熊さんは、全てのステージに出演するというとんでもない偉業を成し遂げられていて、私が観に行った東京千穐楽では、目がバキバキにヤバかったです。「赤が降ります!」のシーン、正直、本気でビビりました…

名古屋公演では、まことの柔らかな内面も感じる全力さになっていて、常に自分の感情を素直に出すまことの言葉と、虚勢で飾り立てなければ本心を口にできないシゲの言葉の対比がよりくっきり見えた気がします。

バキバキにイッちゃってるまことも好きでしたが、名古屋公演のまことも観れて良かったです。

 


支配人役、大原千里さん

ヒモはなを初めて観た時に、一番怖いと感じたのが、支配人でした。地方の農村の住人達への差別意識バリバリの慇懃無礼(というには、オブラートが剥けまくっている気がしますが…)なストリップショー前の口上や、それまでニコニコしていたのに髪を乱された瞬間に豹変してシゲを打ちすえる姿と、その後の何かに憑かれたような足取りで去って行く後ろ姿…何を考えているのか分からない底知れない怖さを感じました。

ヒモはなの世界は「士農工商モカマ」というシゲの言葉どおりの価値観であるというつか先生の解説を読んだ時に、支配人の鬱屈した心が見えた気がします。冒頭のカマ狩りのような弄りが日常的に繰り返されていたら、精神もすり減りますね…

ヒモはなの時代背景では、オカマという言葉で一括りにされてしまっていたと思いますが、支配人は、ゲイセクシャル(結婚しているからバイセクシャルなのかもしれませんが、当時は自分の性的指向がどうであっても、ちゃんとした男は結婚するもの、という固定観念が強かった気がします)だと思って観ていました。今よりずっと性的指向による差別意識が大手を振ってまかり通っていた時代、支配人という立場なのに、オカマだというだけで、女に食わせてもらっているヒモに馬鹿にされるのは、非常に業腹だったと思います。

そんな中でも、ストリッパー達に気持ち良く踊ってもらうために、「てめぇが引き受けたんだろうが!」という言葉をぐっと飲み込んで、「俺、頭、下げるよ…」というシーンの緊迫感、薄皮一枚下の激情を感じてゾクゾクしました。

そのあたりの感情が解ると、持ち上げられると素直に喜んじゃう可愛さも含めて、とても人間らしいキュートな人物なんだな、と感じるようになりました。

そういう機微を見せるお芝居が上手過ぎて、大ベテランの俳優さんなんだろうなと思っていたので、千穐楽のカテコで、50歳からお芝居を始めたというのを聞いて、めちゃくちゃ驚きました!

 


明美役、木本夕貴さん

艶々サラサラの長い髪と、華奢な骨格、気を許した時に見せるとろんと溶けるような笑顔…木本さんの明美を見る度に、可愛いぃぃぃ! と心の中で叫んでいました。

最初の美智子と初めて顔を合わせるシーン、最初は警戒して威圧的な態度を取っているのに、ダンスが好きという共通点を見つけた瞬間、少女のような屈託ない笑顔になるところ、木本さんの明美の素直さを感じて大好きです。本当に踊りが好きなんだなぁ…シゲが恋に落ちた17歳の明美の姿が思い浮かびます。

だから、ラストの方のレディサンフランシスコの再現シーンの、「そんなに踊りが好きかい?」「あぁ!」のところで、めちゃくちゃ泣いてしまいます。

初観劇の時は、物語を追うのに必死で、台詞の意味を2割も理解できなかった(何度か観劇した今も、半分理解できたかどうかという気がします)のですが、シゲに後ろから支えられながら小さい子どもみたいに泣きじゃくる明美の姿や、その後の、光の中一人で立ち思いを並べ立てる明美の姿を見ているだけで、ぼろぼろ涙が溢れて来ました。

三組の明美を観て、東名組の明美が一番、男を許してしまう優しさと、甘える時は全身を預ける素直さを感じたので、これは、男をダメにしちゃう女性だ!という説得力がありました。だからこそ、幸せになって欲しい……こんなに可愛い女、みんなが傘を差し出すよー!

明美の、ベージュトーンのルームウェアみたいな衣装に、赤いリップと赤いペディキュアという組み合わせがたまらなくセクシーでした。気怠く髪を掻き上げられると、もうダメ…恋に落ちちゃいます。

カマ狩り警部の時の何キャラなのか分からない口調が、なんとも言えずクセになりました。みどりをはじめ、他の踊り子さん達にも、面白くて気風の良い姐さんとして慕われてるんだろうなぁ。

 


シゲ役、安田桃太郎さん

初めて観た時、とにかくその台詞量に驚かされました。つか先生の作品の特徴なのでしょうか、普通の会話がそのまま台詞として書かれているような、前後の脈絡が飛んだり、間に本筋とは関係ない話題が挟まったりするので、これを全部頭の中に入れて、しかも、ただ暗誦するだけじゃなくて、そこに感情を乗せてシゲの言葉として発するの、めちゃくちゃ大変なことをされている!と、衝撃を受けました。

名古屋組のヒモはなでは、創さんの演出で、台詞が幾分か分かりやすく整理されていますが、東京組、東名組は、ほぼ原作のままの台詞になっていて、初観劇の時は全然意味を掴みきれませんでしたが、ただただその迫力に圧倒されました。

桃さんのスピード感がある台詞回しの抑揚が心地よくて、流れの速い川の水の動きを眺めているような気持ちになりました。

観る回数を何度も重ねるうちに、物語の姿が見えてくる。初めて観る時は、意味が理解できていなくても、舞台から押し寄せる熱量に心臓を殴られたような衝撃を受ける。観劇の面白さというものを体感する作品だと思います。

だけど、その感情を直接揺さぶられる感動は、桃さんを中心にした演じる役者さん達の魂を搾り出すようなパワーがあるからこそなんですよね…!

配役を見た時、シゲ役の三人の中で、一番桃さんがヒモが似合うような気がしました。でも、実際に観てみたら、一番似合わない…というか、一番ヒモである境遇に苦しんでいるのが桃さんのシゲに見えました。

自分にできることがあるなら進んでやる、というのは、南さん、桃さん、トラザさん共通の性質だと思いますが、中でも一番エネルギッシュに道を切り拓いて行くのが桃さんだという気がします。だから、ためになることを何もせず、ただ、この場所で踏み止まって生きるための重石になるだけの生き方がしんどくて堪らない…という印象を受けました。

だから、どのシーンのシゲも、痩せ我慢をしている感じが強くて、レディ・サンフランシスコを演じた明美が去った後、溜まりきった鬱屈を吐き出すようにダンボールを蹴飛ばす姿がとても切なく、胸に刺さりました。

千穐楽回を、ステージの脇で観せていただくという贅沢を味わわせていただいちゃったのですが、叶うことなら、自分があのダンボール役をやりたい!と思ってしまいました。

熊さんとの関係がそう感じさせるのかもしれませんが、まことがみどりを連れて行き、一人で残されたシゲが、裏切られた…という顔をしているのも、ぐっと来ました。

桃さんのお芝居をたっっっっっぷり浴びることができて、最高でした!

 

忍者隠密隊B.C.A 2013.8.12ワンマンライブ「鬼火-OGRE FLAME-」感想

幕が開いて、暗い中で三弦師(三味線奏者)SEKI様と六弦使い(ギタリスト)YUKI法師様(ユッキー)がスタンバる。この光景からめちゃくちゃカッコ良くて、心拍数が上がっていきます。

そして、踊方(ダンサー)のSUZAK様と初出陣のSEIRYU様、語方(ラップ&ダンス)HANZO様が登場して、謡方(ボーカル)のTANBA様……マントー!!!

事前予約チェキを受け取った段階で期待はしておりました。おりましたが、本当に拝見してしまうと、心拍数爆上がりで、バウンドした心臓が口から跳ね出すかと思いました。

中二な世界観を、正統派なカッコイイにしてしまう美の魔力、凄いです……そして、TANBA様×ひらみは、天才×∞です。ファンがどういうものを見たら、キャー😇ってなるか完全に把握されていて、それを期待以上の形でセルフプロデュースなさるTANBA様、天才が過ぎます……これが上忍の技🙏


BCA World

B.C.Aのライブだー! というスイッチが入るオープニング、大好きです。ダンサー二人を引き連れるHANZO様という構図がカッコ良すぎて、初ワンマンの時から、魅了されてます。踊方の忍びが増えるって、最強ですね…!この先、もしかしたら、BYAKO様とかが増える展開もあったりするんでしょうか!? 四神を従えて踊るHANZO様なんて、想像しただけで震えます!(謡方忍が増えるのも期待しております!)


Black Clad Assassin

B.C.Aのデビュー曲、何度聴いてもめちゃくちゃカッコイイです! いや、聴く度にどんどんカッコ良く進化しています!

DOJUN様主観の曲として聴いて来たので、ご卒業された後も、DOJUN様の歌声が聴こえる気がします。またいつの日か、コラボしたりとかあったら……すみません、想像しただけで、感極まってガチ泣きしました。


EVIL SONG

ワンマンライブのオープニングで新曲として聴いて、90年代のビジュアルの世界観の曲に、一耳惚れしました。また聴きたい! また聴きたい! とうずうずしていたので、また聴けたー! 嬉しいっ! 嬉しいっ! とテンションぶち上がりでした。

お恥ずかしながら、歌詞のリスニング能力がポンコツを極めているので、どうやら現世のお体に蘇られた時のお歌らしい…? というところまでしか掴めていません。YouTubeのB.C.Aチャンネルで公開されるライブ映像は、歌詞が入っている最高に親切仕様なので、この曲も公開される日を心待ちにしています。

HANZO様の「I say!」に重なるTANBA様の艶やかな歌声が、大好きです!

最後の「I am 完全生命体」の叫びを聴く度に、PERFECT HUMANが脳裏を走り抜けて行くのは、内緒です🤫


勝歌

今日はがんばるぞー!と気合いを入れる時に聴きたくなる曲です。拳上げるのって、気持ち良いですね…!

「起死回生の一発!」「飛び出せ我の必殺技!」の流れが、なんだか忍者系の戦隊モノ見てるような気分になって、すごく好きです。

「勝て! 勝て! 勝て! 勝て!」というどストレートな歌詞に、背中バッシーン! と叩かれた気持ちになります。気合い注入!


メンバー紹介、TANBA様、HANZO様の名乗りは、さすがバシッとキメてカッコイイですし、TANBA様がSEKI様を紹介する「世界最速の三味線奏者」を成功させた時に客席から起こる拍手が胸熱ですし、YUKI法師様のほっぺのマーク今日は何かな?コーナーは胸きゅんの可愛さで、最高です!

YUKI法師様の梵字が明かされる日は、果たして訪れるのでしょうか…? とても気になりますが、あのモチプルほっぺを見ると、どうしてもほわっとした気持ちになっちゃって、その日気になっているニュースに関連するマークを浮かび上がらせてしまう保長様という概念が愛しすぎるので、ユッキーにはこのまま世界平和の象徴🕊️としての道を歩み続けていただきたい気持ちです。

ところで、凄い忍びの方々のお名前を呼び捨てで叫ぶことに申し訳なさを感じてしまうので、「TANBA様ー!」と叫んでも許されるものでしょうか…? でも、ユッキーは「ユッキー!」と叫びたくなってしまう。なんというか、不思議の国の主人公マウス的な感じで…


体術訓練

とんでもない高さ&美しさの蹴り技空中技を見て、ヤバい身体能力のビジュアル系バンドじゃん! って驚くようになってしまったんですが、TANBA様、HANZO様の本業はこちらでいらっしゃった…

頭では分かっているはずなのに、ライブの度に、お二人が、百地丹波様と服部半蔵正重様だということを忘れてしまうんです。だって、めちゃくちゃカッコイイビジュアル系バンドだから! バンドとしての完成度がメキボキ上がって行かれた結果、脳味噌がバグを起こしております。

何をやっても天才的に最高になってしまう忍び、つよつよのつよです🙏✨


守って守って守り抜く

麗麗ファンの友人が、この曲の略称を「まもまも」と言っていて、可愛さにときめいてしまいました。まもまも、かわいい。まもまも。

客席に、「忍者が来るかもしれないよ」みたいな貼紙された樽が置いてあったので、もしかして、来てくださるのかな? ってちょっぴり期待していましたが、本当にいらっしゃったー! って、心臓バクバクしました。

ステージの高さとか柵とか無いもののように自然に降りて来られるTANBA様の身体能力が凄過ぎて、いつの間にかすぐ近くに麗しいお姿が!? と軽くパニックになります。

TANBA様のライブパフォーマンスを拝見する度に、脳内に、「これは、特殊な訓練を積んだ忍びだけができるパフォーマンスです。良い子のビジュアル系バンドメンバーの皆は、真似しないでください」というテロップが出ます。柵に片足掛けた不安定な姿勢で身を乗り出して歌っても安定感のある体幹、モンスターです!

初めて、「守って守って…!」を至近距離で浴びたのですが、守っていただいているはずなのに、圧で心臓が潰れそうでした。三途の川のせせらぎを聞きました。とても良い人生でした😇


ここから、メンバーのソロコーナー!

暗獣

最初にこのタイトルを聞いた時、Angeだと思ったんですよね。だからなのか、バッチバチにカッコイイダンスが、どこか宗教的な、戦の中で亡くなった仲間達に対するレクイエムのような色彩を帯びているように見える瞬間があります。HANZO様のどの瞬間も、髪の毛の一本一本、指先から爪先まで、最高の美しさを作り出す神経の通ったダンスが、そう感じさせるのかもしれないな…と思いました。

初ワンマンで初めて観た時に、あまりのカッコ良さに震えましたが、観る度にカッコ良さが増して鳥肌が立ってしまう。本当に、HANZO様は天才なんだなぁと思います。努力を積み重ね続ける天才って、最強以外の何者でもありません!

HANZO様、SUZAK様、SEIRYU様それぞれのカラーがありつつも、一体となって最高の画を作り出すダンス、感動しました!


満月の夜

忍者隠密隊が徳川隠密隊だった頃から、隠密隊様の現場に行くとかかっているカッコイイ曲として認識していたこの曲を、SEKI様の三味線生演奏で聴けるの、贅沢すぎて、本当に嬉しいです…!

SEKI様の演奏がカッコイイのは勿論のこと、客席を盛り上げるライブパフォーマンスの上手さに、毎回テンション上がりまくってしまいます。

しかも、SEKI様としてのお姿のカッコ良さが凄いんです! 世を忍ぶ仮のお姿の山口晃司さんもイケメンだなぁと感じておりましたが、ビジュアル系メイクをされたSEKI様、とんっでもなくカッコ良くてビックリします😳 麗麗さんファンにも、SEKI様カッコイイー!と仰っている方が多いの、ものすごく納得です。ヘドバンの勢いで頷いちゃいます。


YUKI法師ギターソロ

足元ペダルの調整に時間が掛かっていらっしゃる…? と思ったら、その場で作った音源をループさせながらギター演奏をするというとんでもない凄技術を観せてくださって、感動しました! ギターって、こんなこともできちゃうんですか!?

一人で演奏しているのに、重なり合った音が広がって、めちゃくちゃカッコイイ音楽になる。初めての体感に震えて、ペンラ握りしめたまま聴き入ってしまいました。

なんて凄いギタリストなんだ…!と圧倒されて、こんな凄い方を気軽にユッキーと呼んではいけない…! と思ったのに、演奏が終わった途端ゆるふわキュートなユッキーに戻っていて、このギャップはずるいやつだ! と、心の中でジタジタしました。


ハネノカタチノキズ

新曲の一曲が、まさかTANBA様のアコースティックソロだとは…! めちゃくちゃ驚きました。

アコースティックギターの演奏にさらっと切り替えられちゃうユッキー、すごいなぁ…とほわほわしていたのも束の間、TANBA様が歌い出された瞬間、心臓をギュッと鷲掴みされました。

TANBA様の歌声が、ものすごく好きだ…と、最初のワンフレーズで再認識しました。

ここまでの熱唱でだいぶんお声の残量がエンプティーラインに近付いていらっしゃったのを、喉の筋肉で歌い上げる声を作り上げてしまうパワーに圧倒されました。

Black Clad Assassinアンサーソングということで、頬に傷のある男視線の曲(背中の傷は、戦場で爆風でも浴びて出来たものでしょうか? そして、その時の衝撃で、記憶も失ってしまっている?)だと思うのですが、胸に染みる切なさよりも魂を燃やす力強さを感じました。

この曲は、歌い方によって受ける印象がすごく変わりそうな気がするので、この体感を得られるのは、もしかしたら今日の歌声からだけかもしれない…と思ったら、一期一会のライブの醍醐味を強く感じて、感極まってしまいました。

カッコ良かったぁ……


HANZO様からの手紙

この空気の後に、矢HANZO様が出て来られる温度差! B.C.Aライブのこういうところ、大好きです😂

TANBA様ソロの衝撃で吹っ飛んでましたが、衣装のお色直しがあるのも嬉しいです! B.C.Aの歴代衣装全部大好きなので、二着見れるのお得気分でホクホクです☺️

HANZO様のお手紙朗読を聞きながら、そういえば、HANZO様は、語方(MC)でいらした! と思い出しました。

良く噛むことを指摘されたTANBA様(TANBA様が噛んでないと仰るなら噛んでないので、今までTANBA様が噛まれた記憶は一度もないですが!)の早口言葉チャレンジ!

初めて見る早口言葉ばかりだったんですが、誰が考えたんでしょうか? お題が面白すぎて、めちゃくちゃ笑いました。キットカット買っとかんと…が入っていたの、麗麗さん愛が深くて好きです。私は魂が小学生から成長できていないので、「にゃんこなんとうんこよんこ」に爆笑しました。なんなら、今も笑ってます。

B.C.Aの面白コーナー=TANBA様イジりコーナーになっちゃってますね😂 頭なのに!


恋の矢文は正々堂々

矢HANZO様を見た瞬間から、この曲を期待してしまう流れ、好きです。

ニコニコニンニンTANBA様が可愛くて、つられて満面の笑みでニンニンしちゃっている気がします。気持ち悪い顔してたら申し訳ないですが、きっと客席の9割以上が私と同じはずなので、気にしないで楽しむことにします!

忍者のラブソングがこんなふわふわハッピーな世界観、大天才だと思うんです。

つぶつぶの可愛さだけじゃなくて、和歌を読み上げる風流な凛々しさも浴びられる……ハッピーの詰め合わせです! ハッピーパウダー増量中!


謳歌

新曲二曲目、おうおうソング!

拳を上げる系の曲、好きなので、盛り上がれて楽しかったですー!

この曲の入りは、「忍びねぇな」「構わんよー!」で固定なのでしょうか? どうにもこうにも笑ってしまい、TANBA様がホリネクでワンマンライブできたことへの喜びを語られて、つられてぐっとこみ上げていたものが、一気にふにゃふにゃになっちゃったんですが😂(そういうところも大好きです!)「構わんよー!」のレス、斬新すぎて、またやりたい気持ちでうずうずです。

リズム感の神の愛を一切感じられない人生なので、おうおうの声出しのリズム、絶対、外れていたと思うんです……ライブ映像が公開されたら、死ぬ気で練習しなければ……


START

終盤に入って爽やかソング! B.C.Aのセトリの作り方、色々な角度からの魅力を次々に違う味で楽しめる工夫が散りばめられている気がして、すごく良いなぁと思います。

TANBA様の伸びやかな声が合う曲、聴いていて心地が良くて、すごく好きです。

今回、浴衣ライブ参戦だったので、さすがに下駄でジャンプは無理でした…せっかくなら飛びたいので、次は、浴衣でも足元はサンダルにしようと思います!


お前の愛を主にするなら

相変わらずヘドバンは苦手なんですが、B.C.Aの曲の中でもリピートとして聴きたくなる率が高い大好きな曲です。

曲調やリズムの変わり方とか一曲の中にいろんな魅力がギュッと詰まっているのが、聴いていてすごく楽しいです!

ライブでの演奏回数が増えて行く度に、TANBA様の歌とHANZO様のラップや歌の掛け合いがどんどんしっくりハマるようになって、カッコ良さがメキメキ増している気がします。これからも、聴く度にどんどん好きになりそうな曲です。あっ、それは、多分、全部の曲がそうですね!


アンコール! をしている時間、私は、結構好きです。ライブ良かったよー! の感動を込めまくって拍手しながら、また出て来てくれるかなー? と期待してステージに声を掛け続けるのって、なんだか幸せだなぁって感じる瞬間の一つです。

ボレロを脱いでシャツを脱いで、タンクトップ一枚の姿になってアンコールに登場されたTANBA様が、ライブの熱さを語っていて、なんかグッと来ます。


Present Day

この曲も大好きな曲なので、アンコールで聴けて嬉しさが倍増です。

タオルを回しながら、初めて麗麗さん、ネスプリさんとの対バンライブを観にホリネクに来た日のことを思い出して、その日から、ライブの度に最高を更新して、どんどん曲も増えて、頼もしいメンバーも増えて、どんどんカッコ良くなって、こうしてワンマンライブをしているB.C.Aの凄さを改めて感じたら、涙腺決壊しました。

すごいなーカッコイイなー。こんな幸せな気持ちにさせてくれてありがとうー!って、心で叫びながら、タオルブンブンしました。

この時間が、一生続けば良いのになぁって本気で願いました😭


花歌

フィナーレは、パッ!とおっきい花🌸を咲かせて終える。B.C.Aライブに相応しいラストの曲でしたー!

TANBA様が扇子を持っていらっしゃっているのも関係しているのか、この曲を聴くと、満開の桜が咲くキンシャチ横丁の光景が脳裏に広がります。そして、すごーく日本酒が飲みたくなります。

ヒラヒラヒラヒラハイハイハイハイ!しながら、次にキンシャチ横丁に行ったら、儀助さんで一杯しよう…の計画を立てていました。


楽しい時間は、本当にあっという間。ものすごーく良い夢を見せていただいた真夏のあつーいライブでした!

次は、10月2日! もう年内はB.C.Aのライブ観れないかな🥲? と思っていたので、メンバーの皆様めちゃんこお忙しい中、予定をねじ込んでくださり、すごく、すごく嬉しいです。ありがとうございます。次回の参戦も楽しみにしておりますー!

5月3日はTRASHの日

5月3日はTRASHの日!ということで、カブキカフェナゴヤ座で名古屋虎三郎(トラザ)さん、名古屋虎之助(トラスケ)さんとしてご活躍されているお二人について語ってみたいと思います。

私が初めてteam TRASHのお二人、長谷川聖さんと神田丈志さんを拝見したのは、名古屋を中心にご活躍されるアクションカンパニーRE-actさんの公演「祟りの祀り」を観に行った時です。

2016年11月に初めてナゴヤ座に行った時に、お手伝い出演をされていたRE-act代表の手嶋さんが「来月、公演やります!ナゴヤ座からサンザ(名古屋山三郎)さんとサンスケ(名古屋山之助)さんもゲスト出演します!」と告知していたのを聞いて、その場で「祟りの祀り」のチケット予約をした記憶があります。ナゴヤ座の何でもアリなアクション観て、テンションがめちゃくちゃ上がっていたんだと思います。

「祟りの祀り」では、長谷川さん、神田さんは、ナゴヤ座のベテランゲスト(という名のお助けマン)水谷健さんと一緒に悪鬼という役を演っていらっしゃいました。スチームパンクなマスクでお顔を隠して、白いひらみ最高な衣装+黒いコルセットみたいなベルトの悪鬼、ビジュアル最高でした! 長谷川さん、神田さんは、サンザさん、サンスケさんの行方不明になった師匠役というめちゃくちゃ胸熱な設定で、四人の立ち回りシーンのカッコ良さに痺れました。ナゴヤ座沼の淵に立っていた私の背中が蹴り飛ばされた瞬間でした。

 

その後、2017年2月18日に、ナゴヤ座にTRASHのお二人がゲスト出演されました。あのアクション凄いお二人がゲストにいらっしゃるのかぁ、楽しみだなぁとナゴヤ座の公演を観に行って……雷を落とされたように長谷川さん推しになりました。

当時のナゴヤ座では、義経と弁慶の出会いの物語に、現代(当時は平成)からタイムスリップして来た与一(本名はヨウイチ)が絡む「遮那王」という演目が上演されていました。TRASHのお二人は、そのスピンオフである前夜譚、牛若丸が鞍馬天狗に師事することになる物語「牛若」に出演されました。

研修生の一代目名古屋参太郎(タロウ)さん(後に名古屋参之丞(ノジョー)さんを襲名されましたが、今はご卒業されてしまっています。しんみり…)が牛若丸を演じ、長谷川さんと神田さんは、鞍馬天狗に仕える赤鬼のアカと青鬼のアオをそれぞれ演じられていました。そして、鞍馬天狗がサンザさんで、牛若丸が成長した後の遮那王がサンスケさんでした。

今では考えられませんが、当時のナゴヤ座の演目にはしっかりした台本は無く、「牛若」も、座長のサンザさんが書いたA4用紙一枚分の設定で上演されていたそうです。

コバナシなどでも話されていらっしゃるように、TRASHのお二人は、「アクションマンなので、台詞は無い役で」という条件でゲスト出演されたので、アカとアオは、人間の言葉を喋れない鬼達でした(リプトンとかハイホーとか単純な単語は喋ってました)。だけど、アカやアオがどんな性格をしていて、今どんな気持ちなのかが、全部伝わって来たんです。

それだけじゃなくて、プロットだけのシンプルな台本で演じているとは思えないストーリーが見えました。台詞ありのお芝居をする鞍馬天狗や牛若丸(と成長後の遮那王)だけじゃなくて、アカやアオのアクションもストーリーテラーになっている。お芝居の立ち回りが大好きで観劇沼に入った私ですが、TRASHのお二人のアクションは、今までの殺陣に対する概念を打ち壊す力を持っていました。アクションの表現力って、こんなにも幅を広げられるものなんだ…!と、感動しました。

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おっきい刀に面+隈取メイク。ビジュアルのカッコ良さにも射抜かれました💘

当時のナゴヤ座は、一部が演目、二部がアフタートークという構成でした。アフタートークにはすっぴんで出て来られるのですが、アカアオの時とはまた違うイケメンっぷりにドキドキしてしまいました。

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「お気軽に神ちゃんと呼んでください」「お気軽に長谷川さんと呼んでください」と自己紹介していたお二人が名古屋虎三郎と名古屋虎之助を襲名されたのは、2017年7月28日。

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トラスケさんの虎柄の傘を使った名乗り口上、めちゃくちゃ美しかったので、また拝見したいです! トラザさんが口上中に投げた羽織を控えているトラスケさんがキャッチするのもすっっっごく胸熱だったので、また観れたら良いなぁ…!

座員入りする時にはもう、髑髏城の七人〜下弦の月〜にご出演されることが決まっていたお二人は、9月11日の壮行会(後に名古屋参永已(サンエー)さんと名古屋参十郎(ジューロー)さんを襲名される永田祐己さんとごとーあきらさんのゲスト参加が発表されたのもこの日でした)を経て、東京へと旅立って行かれました。

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それにしても、髑髏城に出演されたアクションマンが二人も座員にいる一座って、凄いですよね…! 幕が上がってすぐの声で「あっ、トラザさんだ!」って分かるところから始まって、お二人とも全編に渡りめちゃくちゃご活躍なさっているので、ゲキシネで月髑髏やる時は、ぜひ観に行っていただきたいです!(公式様、その節はぜひ、名古屋の映画館も上映館に加えてください。何卒!)

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お二人が東京に行っている間、この子がナゴヤ座でお留守番してました。

無事、月髑髏のロングラン公演を完走して名古屋に凱旋されたトラザさんは、ちょっとお顔が丸く可愛らしくなっていらっしゃいました。360度の広い劇場を走り回って消費するカロリーよりも、すっかり仲良しになった桃さんこと安田桃太郎さんに毎晩飲みに連れて行かれたカロリーの方が上回ったって、よく考えたらすごいことですね😂

この出会いが、何度かの桃さんのナゴヤ座ゲスト出演を経て、2019年8月のBRATSさん(東京中心に活躍されている桃さんが社長を務めるバッチバチのアクションカンパニー)とナゴヤ座のコラボ公演に繋がったのは、本当に胸熱です。

当時、ナゴヤ座で上演されていた「BENTEN The KID」にただゲスト出演しただけじゃなく、BRATSさんバージョンのアレンジBENTENまで観せてくださったの、凄すぎて震えました…! 是非とも、またBRATS×ナゴヤ座の化学反応を見たいです!

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話がちょっと逸れました。

team TRASHとしてのパフォーマンスを最後に観たのは、確か、神田さんが所属されていた舞刀ユニット暁(水谷さんも所属されていました!)のファイナル公演だったと思います。2019年3月……ということは、もう4年前なんですね!

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2019年4月の横川結城さん(ナゴヤ座では、名古屋参十坐(トーザ)さん)のお誕生日イベントでは、長谷川さんと神田さんがスーツ姿でバッチバチの立ち回り(椅子に座った横川さんを挟んでのゼロ距離殺陣を安全にやれてしまうお二人の技術が凄すぎました!)を観せてくださったり、2019年はTRASHの活躍が盛んな年だったのかも…? またそういう年が来てくださっても良いんですよ。ちょうど4年後ですし! トラリンピックの開催、期待しております🙏

RE-actさんの2018年の公演「傀儡の石英」に出演された時に作られた手ぬぐいとTシャツ、めっっっかわだったので、TRASHグッズの再販もしてくださったりしたら嬉しいなぁ

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最初は「台詞の無い役」が出演条件だったお二人、その条件が破られたのは、2017年6月、サンザさん不在時の留守を預かって長谷川さんが鞍馬の鴉天狗を演じた時でした。

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初めて聴くお役の長谷川さんのお声は、感涙しちゃうぐらいカッコ良かったです…「座長の大事な役を預かる」というご姿勢と、サンザさんとは種類の違う凄さで圧倒する立ち回り(最後に鴉天狗が倒れる時、サンザさんの鴉天狗は前に倒れて、長谷川さんの鴉天狗は後ろに倒れるのが特徴的でした)にも感動しました!

トラザさんとトラスケさんがナゴヤ座で初めて主役を演じたのは、2018年7月の「ナゴヤ座シャッフル」というイベントでした。「YAJIKITA2、どの配役で観たい?」というTwitterアンケートの結果で一位になったのが、トラザ弥次さん、トラスケ喜多さんの組み合わせだったんです! イベントだったこともあり、一幕だけの上演でしたが、虎屋のお二人の初主役、とても胸熱でした。

この日、昼は「ナゴヤ座ハンティング」という円頓寺商店街周辺に隠れたSAZENのキャラクターを捕まえるという別のイベントがあったんですよ…すごい一日でした…!

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フルバージョンの虎屋ヤジキタを観たい! という夢は、翌月には叶いました。夢を叶えてくださるスピード感、愛しております!

ソロでの主役を演じられたのは、トラスケさんが先でした。

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トラスケさんの弁天小僧菊之助は、サンスケさんの弁天とはまた違う華がありました。日舞講師もされていらっしゃるだけあって、女装時のおなみさんの所作の美しさはさすが過ぎました! トラスケさん=美しい女形なイメージが出来上がる最初のきっかけのお役だと思います。

トラザさんの最初のソロ主役は、ナゴヤ座版斉天大戦(ちくさ座で上演された極上ナゴヤカブキ「斉天大戦」のナゴヤ座上演バージョンです)の孫悟空でした。ジャンプヒーローのような真っ直ぐな主人公っぷり、キラキラしてました!

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「Macbeth」や「風来ボウイ」ではトラザさんが、「SEIMEI」や「Turandot」ではトラスケさんが主役を演じられ、最近ではもうすっかり、お二人がメインの役を演られるのは当然、という感覚になって来ました。だけど、毎回膨らませた期待を遥かに上回る凄いお芝居を観せてくださる。お二人の舞台作りに向ける情熱に、魅せられ続けています。

トラザさんは、ナゴヤ座のアクション監督もされていらっしゃいます。トラザさんが初めて殺陣を付けた作品は「虎の尾」だと思いますが、ナゴヤ座の一作目の「月読」を観た時に感動したサンザさんの操られて戦う動きを、ストーリーの山場にしっかり組み込んだ立ち回りに、ドキドキしました。名古屋参駄右衛門(ダエモン)さん演じる弁慶と、サンザさん演じる富樫の戦いは、今でもナゴヤ座の好きな立ち回りの上位に入り続けています。

それから、右手を使わないというめちゃくちゃ難易度の高い縛りの掛かった「SAZEN」の丹下左膳の立ち回りは、天才殺陣師のトラザさんと、人間の枠を外れたような身体能力を持つサンザさんがタッグを組んだから出来たもので、DVDで過去の映像を観る度に新鮮に感動しています。一生、もう一度観たいと焦がれ続ける演目です。

ちくさ座という客席が円形の舞台を囲む配置になっている外部の劇場での公演で行われる極上ナゴヤカブキ(年一回のナゴヤ座特別公演)では、殺陣を観せるには難しいその構造を、むしろ強みに変えるような立ち回りの画を作る技をどんどん進化させて、毎年、そのカッコ良さに痺れ上がります。

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トラスケさんは、その所作やお姿の美しさで、ナゴヤ座の女形の代表格になっていらっしゃいます。ナゴヤ座で、ヤジキタ作品などのババア役を除いて、女性キャラクターを演じられたのは、トラスケさんの魔苦減須夫人が初めてでした。夫を唆して罪を犯させる悪女という難しい役を作り上げたトラスケさんの、深く掘り込んで行くお芝居へのアプローチは、アクションマンの肩書きを忘れさせる凄みがあります。

その一方で、ノープランでも振られたら絶対に何かをやりきる、そして、滑ったとしてもそれを笑いに変える天性の空気感を持つという、コメディアンとしてのスキルもめちゃくちゃ高いです。トラスケさんが初めて、「YAJIKITA2」の閻魔王を演った時の衝撃は忘れられません。お腹がシックスパックになるかってぐらい笑いました!

ゴヤ座に出演されるようになってアクション以外の才能を溢れんばかりの満開に開花させてしまったために、最近のトラスケさんはなかなかアクションをやらせてもらえないと嘆いていらっしゃいます。シリアスでもコメディーでも輝くお芝居は、6年前には台詞のある役はやらないと言っていた方だとは思えません。ですが、トラスケさんの立ち回りの剣筋の美しさを見ると、バッチバチに戦う役もまた演っていただきたいなぁと思います。いや、でも、ガッツリお芝居する役も観たい…贅沢な悩みですね。

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トラザさんのお芝居の凄さは、役を憑依させたような観ている者の魂もヒリヒリさせる迫力です。「SAZEN」の栄三郎のお芝居に魅せられて以来、トラザさんが演じる悪役の切なさに、心臓を掴まれ続けています。「風来ボウイ」の石松のような真っ直ぐなキャラクターを演じる時は、戦隊モノのレッドの魂を感じるのに、魔苦減須のような悪役を演じると、憎しみや哀しみが色香となって匂い立つ…その魅力の二面性にやられます。

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TRASHのお二人がナゴヤ座ゲスト出演の誘いを受けた時、神田さんの方が乗り気で、その理由が、「長谷川さんの凄さをもっとたくさんの人に見てもらいたいから」だというお話を聞いた時、相方が一番のファンという関係、めちゃくちゃステキだな!と思いました。

トラザさんは「トラスケ嫌い」というツンな発言をされることが多いですが、トラスケさんに対して、「自分にはできないことをやれるヤツ」というリスペクトを持っていることが時折漏れ伝わって来るので、双方向に尊敬し合える関係なんだなぁとニコニコしちゃいます。

トラザさんもトラスケさんも、ぐんぐん魅力を増させて、活躍の場を広げていらっしゃいます。これからもきっと更に活躍されるので、応援させていただきたいです!

だけど、やっぱり、お二人が刀を交わらせるアクションのカッコ良さは世界一なので、team TRASHとして、または、ナゴヤ座の虎屋としてのコンビでのご活躍も、観れる機会がたくさん訪れたら嬉しいです。

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寅年の幕開けを飾った金虎酒造さんでのお二人のパフォーマンス、めちゃくちゃカッコ良かったです! また観たいなぁ✨

取り留めない語りになってしまいましたが、お二人のアクションを初めて観た時から大ファンです。これからも、お二人が板の上に立ち続けてくださる限り、還暦を過ぎても、喜寿を迎えても、全力で応援し続けます!

TRASHの日、おめでとうございます🐾

 

サンキューの日に名古屋参九郎さんについて書いてみた

3月9日はサンキューの日!

当日までに書き上げられませんでしたが、カブキカフェナゴヤ座(http://nagoya-za.com/)のベテラン組座員、名古屋参九郎さんについて書いてみます。

オオムコウ(歌舞伎などで役者に向かって飛ばす屋号や「ご両人!」という声援)は「サンキュー」座員カラーは黄色です。

 

ゴヤ座に加入したのは、2017年1月。2016年末に名古屋山平太(ペータ)さんが卒業されて、座員が座長の名古屋山三郎(サンザ)さんと名古屋山之助(サンスケ)さんの二人になってしまったナゴヤ座。どうなってしまうんだろう? とハラハラしていたら、名古屋参駄右衛門(ダエモン)さん、サンキューさん、名古屋参十坐(トウザ)さん、名古屋参次郎(ジロウ)さんの4名が加入して元の倍の人数に!(ジロウさんは、現在、ご卒業されて東京でご活躍されています)

ゴヤ座オープン時からのメンバーであるサンザさん、サンスケさん、ペータさんは、サンザさんが一枚目(座長だけど、当時の演目「月読」の主役を演じる役者なので、八枚目ではなく一枚目のはず…)、サンスケさんが二枚目、そして、ペータさんが三枚目の役割を担っていました。

ペータさんが卒業されて空き枠になってしまった三枚目のポジションを担うことになったのがサンキューさん、というイメージでした。

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当時やっていた演目が「YOSHITSUNE」で、サンキューさんがメインで演じていたのが、ナスノヨウイチ(義経、弁慶には「与一」と呼ばれる)という現代から義経、弁慶の時代にタイムスリップして来た男の役でした。

そして、その次が、「TORA-NO-O」の梶原景時の使者と兼役の平知盛

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与一や使者役では、お芝居を掻き回す役割を120%果たしてくださいました。ペータさんが野生の打ち上げ花火みたいな方だったので、その笑いのポジションを担うのはすごく大変なことだったと思うのですが、負けない爆発力を見せるサンキューさんの頼もしさに、ナゴヤ座のお芝居がますます面白く予感でワクワクしました。その予感は、完全に現実になりましたね!

サンキューさんは、色々なことをしっかり考えたうえで立ち振る舞いの仕方を決めるクレバーな方だと思います。だけど、自分のポジションがそこだと思い定めたら、全力でクレイジーになることもできる。それって、とてもすごい能力な気がします。

 

サンキューさんのお芝居の魅力は、三枚目としての面白さだけではありません。

平知盛役で感じたゾクッと来る悪役の空気感を、より強く感じたのが、「BENTEN the KID」の浜松屋幸兵衛です。手下に拷問させてボロボロになった日本駄右衛門を踏み付けて、その信念を嘲笑う姿は、底冷えする恐ろしさを感じました。

サンキューさんは、三枚目役として、イベントなどでも客いじりなどぶっ込んで行く破天荒さを見せてくれますが、その素顔は、しっかりとした考えを持ち、舞台の上の仲間の役者達の様子だけでなく、ファン達の様子まで目を配る視野の広さがある、誰よりも大人な方です。

その多方面に気遣いのできる優しさが滲み出しているからこそ、悪役を演じる時のギャップが背筋をゾクゾクさせます。そして、善から悪へと瞬間的に切り替えるお芝居が、とんでもなく上手い。一人の人間が持つ表の顔と裏の顔のどちらもに、違和感なく説得力を持たせられる巧さに、心拍数が上がります。

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サンキューさんは、市川智也さんとして、スポーツの試合のMCなどでもご活躍されていらっしゃいます。その経験は、ナゴヤ座のお芝居の中でも活かされまくっています。

客席の全員を、単なる傍観者ではなく、物語の中に取り込んで、左膳の生き様を一緒に見届ける登場人物にさせる力を持つサンキューさんの「SAZEN」の講談師に、心の底…魂から震えました。

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「開門!」の声だけで場面転換をさせてしまうサンキューさんの凄さをより強く感じたのが、極上ナゴヤカブキ(ちくさ座という広い円形劇場で行われるナゴヤ座の外部公演)1の「斉天大戦」です。

サンキューさんが演じた混世魔王(通称混ちゃん)は、殿堂入りナゴヤ座キャラの一人です。その混世魔王が登場するだけで、舞台転換をしたように場面が変わったり、物語が別の方向に流れ出したり、ちくさ座の広い舞台を動かしてしまう。

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その凄さは、「DOMAN」、「虎の尾」と、その後の極上ナゴヤカブキ作品でも発揮され、サンキューさんの存在は、無くてはならないものになっています。去年の夏の公演「虎の尾」([DVD]極上ナゴヤカブキ4「虎の尾 -YOSHITSUNE & BENKEI-」 | NAGOYA za NET shop https://thebase.page.link/taJg)では、源頼朝の使者を演じ、語りだけでちくさ座を壇ノ浦の海に沈めました。

見る人をホッとさせ、自然と一緒に笑ってしまうパワーを持つサンキュースマイル(目尻の皺がとってもキュートです)は、とてもステキです。だからこそ、それがスッと消えた時、一瞬で場の空気が変わります。声の調子の変え方もめちゃくちゃ上手く、そこにこの表情の変化が加わると、暗転やセットの移動をしなくても、舞台の色が変わってしまう。サンキューさんという役者さんの凄さを、心底感じます。

 

サンキューさんの演じる悪役の魅力について語りましたが、「THE NARUKAMI」の絶間や、「風来ボウイ」の森の石松という主役を演じる時の真っ直ぐな熱さにも、ストレートに惹きつけられます。

何かを守ろうとがむしゃらに挑んで行く姿を見ると、がんばれー!って大声で応援したくなっちゃうし、敵に勝った時には、良かったねー!って掌が痛くなるぐらい拍手したくなります。

仲間と力を合わせて、一人では勝てない相手に戦いを挑む。少年マンガの王道主人公を演じさせたら、サンキューさん以上に似合う方はいないんじゃないかと思ってしまいます。

サンキューさん、可愛らしくも凛々しくもなれる整ったお顔立ちをされていらっしゃると思うのですが、「普通」に見せるのがめちゃくちゃ上手いんです。それに、殺陣の基礎をしっかり身に付けていらっしゃるから、立ち回りの動きで、強い悪役にも、今まで刀を握ったこともない与一のようなキャラにもなれてしまう。

サンキューさんの作り出される空気で、お芝居の中の世界のキャラクターが、身近に存在する人間のように感じられる。そのお芝居に、サンキューさんの中にある熱い気持ちが乗っかるから、客席皆が、がんばれーっ!って応援しちゃうんだと思います。

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私は、名古屋人でありながら、おもてなし武将隊界隈についてはとんと疎いまま過ごして来てしまいましたが、サンキューさんと、同時にナゴヤ座に入ったダエモンさんは、名古屋城の方で器となっていらっしゃった頃から名コンビ(ダエモンさんのお世話をできるのはサンキューさんだけというのが、お二人を知る方々の共通認識のようでした)でした。

サンキューさん、ダエモンさんご本人は、お互いを「嫌い」と言い合っているけれど、ピタリと息が合ってしまうから、「ビジネス不仲」と言われております。

実際のところのお二人の仲良し度は分かりませんが、ダエモンさんとサンキューさんが相棒役を演る時のしっくり感は、ずば抜けています。

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お互いに相手が演りたい方向性を肌で感じ取ることができて、それに対して自分がこう返したら面白いという計算を瞬時に弾き出せるから、安定感も笑いの瞬発力もめちゃくちゃ高いお芝居になる。ダエモンさんもサンキューさんも「演りやすい」と感じていらっしゃるのが伝わって来ます。

お芝居に対する熱量が同じぐらい大きくて、次はこういう風に演じてみようという挑戦意欲を持ち続け、細かいところにまでこだわる職人肌の役者魂を持ち…という歳の近い相手が近くにいて一緒の舞台に立てることは、かなり奇跡的なんじゃないかと思います。そんなお二人の共演を観れるって、とても幸せなことです!

ゴヤ座の中でも、最年長組のお二人が全力のお芝居を見せてくださるから、他の座員さん達にもスイッチが入り、板の上の熱量がぐっと上がる感覚、すごく胸が熱くなります。

 

プライベートのサンキューさんの、息子ラブなパパっぷりも、とてもステキです。Instagramhttps://www.instagram.com/p/CppkmnXJqmP/?igshid=MDJmNzVkMjY=)やTwitterhttps://twitter.com/tomoya_moya/status/1610399900667351041?s=46&t=QeBl-pbizSofy_jCZaRH8A)で、息子さんとの微笑ましいお写真を見せてくださるので、ニコニコしちゃいます。

 

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実は同い年のサンキューさんのご活躍を、これからも応援してます! お肌つやつやで、喜多さんおちょんぼも似合ってしまう奇跡の四十代男子に負けないよう、私もスキンケアがんばります。サンキューさん愛用のちふれ、使ってみようかな?

サンエーの日に名古屋参永已さんについて書いてみた

3月8日はサンエーの日!

カブキカフェナゴヤ座(http://nagoya-za.com/)の座員の一人、名古屋参永已さん。オオムコウ(歌舞伎などで決め場で役者に掛ける声)は「サンエー!」。座員カラーはオレンジ。

若手座員のイメージが強いサンエーさんも、いつの間にかもう三十代なんですね…ちょっと感慨深い。

私が初めてサンエーさん(当時はゲスト出演だったので、永田祐己さんのお名前で出ていらっしゃいました)をお見かけしたのは、髑髏城の七人〜season月・下弦〜にご出演のため東京に行かれる座員の名古屋虎三郎(トラザ)さんと名古屋虎之助(トラスケ)さんの壮行会でした。

現在名古屋参十郎(ジューロー)を襲名されているごとーあきらさんと、研修生名古屋参吉さん(現在はご卒業されています)と共に、トラザさんトラスケさんが長期不在となるナゴヤ座のお助けマンとして紹介されました。

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ファーストインプレッションは、「近寄り難い」でした。

だって、見てください。この一人発光しているような存在感。神の御子なのかな?ってオーラですよ。

お顔めちゃくちゃ綺麗だし、オシャレだし、私より体重軽そうだし、瞬時にイケメン見知り発動です。

その後、ザバナシ(ナゴヤ座のトークイベント)などで、演出家の右来先生にダメ出しされてかなり苦労された裏話を知りましたが、舞台を観ている側からは、お芝居をサラッとこなしてしまう器用な役者さんに見えていました。だから、余計に近寄り難い印象を抱いてしまっていました。

 

サンエーさんが名古屋参永已を襲名してナゴヤ座座員入りしたのは、ナゴヤ座が二周年を迎えて1ヶ月ほど経った2018年5月。

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サンエーさんの凄さを感じたのが、円頓寺商店街に散らばった「SAZEN」のキャラクター達を捕まえようというイベント(ナゴヤ座ハンティング)です。サンエーさんの剣精がポーズを取った瞬間、見慣れた路地裏の光景が「SAZEN」の世界に繋がったような感覚に包まれたんです。

お芝居の空気を作るのがめちゃくちゃ上手い役者さんなんだな、と感動しました。

 

そして、更なるサンエーさんの凄さを知ったのが、ナゴヤ座が三周年記念で「TORA-NO-O」の再演をした時。サンエーさんが、それまで座長の名古屋山三郎(サンザ)さんが演じて来た富樫左衛門尉を演られたんです。

極上ナゴヤカブキ「虎の尾〜YOSHITSUNE&BENKEI〜」をご覧になられた方なら分かると思いますが(ご覧になっていない方は、こちらでDVDが買えます![DVD]極上ナゴヤカブキ4「虎の尾 -YOSHITSUNE & BENKEI-」 | NAGOYA za NET shop https://thebase.page.link/taJg)、ネタバレになってしまうので細かくは語れないのですが、物語のクライマックスシーンの怨霊に操られた富樫の立ち回りって、めちゃくちゃ難易度が高いんです。殺陣技術を学んだことのない素人である私の目にも、凄い動きをしていることが分かる…それぐらい凄い立ち回りです。

アクションのプロのトラザさん、トラスケさんは別として、こんな動きができるのはサンザさんだけだと思っていました。だけど、サンエーさんは、見事に、サンエーさんの富樫を演じられました。

この役で、サンエーさん独自の殺陣の色がはっきりと見えた気がします。最初に演った時は、サンザさんと同じ路線の立ち回りだったのですが、二回目でガラッと変えてサンエーさん色を出して来た…

サンエーさんの動きの凄さって、バネの強さとウェイトの軽さを活かした高い跳躍力と、ギアを初手でトップに入れてしまえる瞬発力から来ている気がします。それを活かしたサンエーさん富樫の立ち回りは、サンザさんの亡霊みを感じる肉体の重力を消した動き(あれができるのはサンザさんだけな気がします)とは違う、人としてのリミッターを無理矢理切られた獣じみた迫力がありました。

サンザさんのサイン列で、ナゴヤ座の座員さん達のすごい成長っぷりについてお話をすると、サンザさんが「めちゃくちゃ上手くなった」と必ず褒めるのが、サンエーさんの立ち回りです。

サンザさんとトラザさんがバッチバチに闘っているところに三つ巴で入って行っても同じスピード感で合わせられる勘の良さもとても凄いですが、それ以上に、サンエーさんの立ち回りには、「どうしてこういう戦い方をするか」の感情や背景までも見えるところに強く惹きつけられます。サンエーさんの立ち回りの進化は、技術の進化という以上に、お芝居の表現方法を広げて行って出来上がったものという感じがします。

 

サンエーさんの即トップギアに入る瞬発力の凄さは、立ち回り以外のお芝居にも感じます。

こうやってみよう!という閃きを、その場ですぐに演じ方に反映させて、ナゴヤ座のマスコットキャラ的な存在になっている「Macbeth」のシモンちゃんや、「YAJIKITA」の産婆のおシカさんなどのハマり役を生み出す。サンエーさんのお芝居の凄さの真骨頂な気がします。

そして、笑いの爆発力がありながら、何度観ても飽きずに愛してしまう。瞬発力だけではなく、作り上げたものを同じ味で、しかもどんどんと旨みを凝縮したものにして行く持続力もある。サンエーさんがラーメン屋をやったら、めちゃくちゃ流行るんじゃないかと思います!

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お婆ちゃん繋がりで奪衣婆さん。サンエーさんの奪衣婆さんも、舌をレロレロ動かしながら迫って来るクレイジーさが最高です!

シモンちゃんは、こちらをご覧ください(https://youtu.be/rnuoXgSnzGY)。「Macbeth」というシェイクスピアの悲劇がベースになった作品から生まれたとは思えないキャラクター性は、ぜひ動く姿を見ていただきたい!

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サンエーさんは、めちゃくちゃ綺麗なお顔立ちをされていらっしゃるんですよ。「 BENTEN the KID」で演じられた浜松屋の若旦那っぷり、最高にハンサムでした。赤星十三郎役も、皆が見惚れる美しさでした。

とらかめ(トラザさんが撮るお写真)の最初のモデルに選ばれたのも道理な、雰囲気のあるイケメンなんです(https://www.instagram.com/p/CBFTh5wpojo/?igshid=MDJmNzVkMjY=

なのに、全力で婆さんにも実写版黒ひげ危機一発にもなってしまう。この振り幅の広さというか、笑いを取る時には全力でやり切ってしまうカッコ良さは、ナゴヤ座の座員さん皆持っていらっしゃるんですが(全力をイケメンをかなぐり捨てて行くイケメン達、最高に大好きです!)、サンエーさんのオンとオフの温度差はずば抜けています。

 

サンエーさんは、サンエーさんにしか出せない空気を纏っている役者さんだと感じます(私の勝手なイメージとしては、白梅が咲き始める初春の頃の肌寒い朝の陽射し…みたいな透明感と柔らかさを感じる空気です)。

だからなんでしょうか。悲劇「Macbeth」の主人公魔苦減須や、「Turandot」の全てを失ってしまうトゥーランドット姫みたいな重い役を演じても、暗闇だけではない希望に向かう一筋の光が見えるように感じます。それも、サンエーさんの持つ凄い才能の一つだと思います。

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一つの役をいろんな座員さんが演じる配役シャッフルが、他にはなかなかないナゴヤ座のお芝居の特徴ですが、どの演目でもサンエーさんが一番多くの役を演るというのが、お約束になって来た気がします。その役をいろんな役者さんが演じて来た後、千秋楽間際で四番手、五番手のキャラ作りをする。そのプレッシャーと難しさは、素人である私にも分かります。

だけど、サンエーさんは、そういう切り口があったのか!という役作りで、ロングランの作品の新しい魅力を見せてくれる。それは、きっと、サンエーさんが、今演じている役以外のキャラクターも、自分が演るならどうするかを常日頃から考え続けているからできることなんだろうなと思います。

お芝居を観ても、イベントなどでのトークを聴いても、サンエーさんの頭の回転の速さには驚かされますが、そこに、配役シャッフルで磨かれた、別の登場人物からの視点にも切り替えられる視野の広さが加わって、今では「サンエーさんが居れば大丈夫」という頼もしさを感じるバランサーになっています。

若手組として自分自身もガンガン挑戦しながら、しっかりと脇を固める役割も果たせる。サンエーさんの凄い進化のおかげで、お芝居の支柱役となっていた座長のサンザさん、副座長の名古屋山之助(サンスケ)さん、最ベテラン座員の名古屋参駄右衛門(ダエモン)さんとかが好きに遊ぶお芝居も観れるようになって、ナゴヤ座の舞台の面白さが更に広がりました。

本当に、ナゴヤ座には絶対必要な存在です!(どの座員さんもそう思えるのが、ナゴヤ座のすごいところですが…!)

 

サンエーさんの口上に「御池の鯉」というフレーズがあるのが、最初に聞いた時は少し不思議でしたが、よく考えてみると、「鯉」ってサンエーさんにすごくピッタリな生き物なんですよね。

鱗によって、華やかな主役の錦鯉にも、黒子役の真鯉にもなれる。胃が無いからいつも腹ぺこな鯉みたいにお芝居に貪欲で、どんな役でも飲み込んで自分のものに消化しようとする。そして、川を登って龍になるポテンシャルを持っている。すごくサンエーさんな生き物です!

 

涼しげなお顔立ちや、淡々とした落ち着きのある喋り方から、一見クールで近寄り難い印象を持ってしまいがちなサンエーさんですが、内側には熱い役者魂を宿したカッコイイ漢です。

ファッションやバイク、車の趣味も、ベーシストなところも、スタイリッシュな見た目に反した男臭さで、そういうギャップも魅力の一つです。

知れば知るほど、ジワジワと内面のカッコ良さが出て来るサンエーさん。これからも、若手組エースとして、たくさんの挑戦を観せてください!

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角が生えてても、めちゃくちゃイケメン!